宇宙で「世界一」狙う中国 「高速発展」で米国追う
【酒泉衛星発射センター・時事】中国の宇宙飛行士を乗せた有人宇宙船「神舟19号」の打ち上げが成功した。 宇宙ステーション「天宮」に滞在する要員と交代する。要員交代は5回目。習近平政権は、2050年までに宇宙分野で世界をリードする中長期計画を掲げ、先行する米国を追い越すことを狙っている。 「わが国の宇宙科学は『高速発展』の段階に入った」。今月15日に宇宙分野の中長期計画を発表した記者会見で、中国の航空宇宙専門家はこう強調した。中国が宇宙分野で米国に先んじる例が出始め、宇宙ステーションの運営も安定的に行われているもようだ。 中国は19年に世界で初めて無人探査機を月の裏側に着陸させ、今年6月には月の裏側の試料を持ち帰ることに成功。習政権は30年までに有人月面着陸を実現するため、「官民一体」(日本政府関係者)で宇宙開発を加速させている。中国科学院の張偉研究員は29日、時事通信などの取材に対し、有人月面着陸に向け「技術的な難しさはない」と自信を見せた。 追われる立場の米国は、長年の実績や国際協力を含むノウハウを生かして優位を保とうとしている。米非営利団体「憂慮する科学者同盟」によると、23年時点で米国の人工衛星の数は5184基と、中国の628基を大きく上回る。 月面探査に関しても、米国は日本や欧州などが参加する「アルテミス計画」を推進。同計画では26年に再び人類を月に送り込むことを目指しており、20年代末にも日本人が初めて月面に降り立つ可能性がある。