【ラグビー】スピアーズ江良颯、入部早々活躍も悲壮感。「そろそろチームに大切な存在にならないと…」
このままではいけないと漏らす。 クボタスピアーズ船橋・東京ベイの江良颯は、今年入りたてのルーキーながらシニア選手の悲壮感を漂わせる。 「そろそろ、本当にチームにとって大切な存在になっていかないと」 身長170センチ、体重106キロ。帝京大のHO兼主将として、今年1月までの大学選手権で3連覇を達成。タックル、突進、最前列中央で組むスクラムで強さを示し、昨季リーグワン王者のスピアーズでも入部早々に出番を得る。 2月10日には東京・秩父宮ラグビー場で、ニュージーランドはチーフスとのクロスボーダー戦で躍動した。 レギュラーシーズンでも、大卒前でも選手登録のできるアーリーエントリーという制度を利用して第12節まで4試合連続でリザーブから登場する。 ニュージーランド代表として90キャップ(代表戦出場数)を持つデイン・コールズとバトンタッチする形でピッチへ出るや、大阪桐蔭高時代に2学年上だった紙森陽太を左に従え、低いパックを組む。 3月22日の秩父宮での第11節では、埼玉パナソニックワイルドナイツ所属で日本代表76キャップの堀江翔太と対面だった。 代表デビューを目指す青年は、大学の先輩でもあり今季限りで引退する堀江との対峙へ「自分のラグビー人生で大きな試合でした」と感慨深げ。目下首位の相手に22-55と大敗も、スクラムで反則を誘うシーンも作った。 期待の新星を抜擢するフラン・ルディケ ヘッドコーチは、江良と同期入団で右PRの為房慶次朗を含めた若手フロントロー2人への見立てを語る。指揮官は、為房も第11、12節でリザーブに登録していた。 「江良は毎回、キャリー、スクラム、ディフェンスでいいインパクトをもたらしてくれます。いいコンビを組む為房も接点の強さ、ワークレートがいい。2人ともアスリートタイプです。2人は成長段階であり、いまはチームに(中盤戦以降で)インパクトを与える役目を担ってくれています。我々は1~3番で先発を50分、リザーブを30分ずつくらいプレーさせています。後者は、相手の状況を見たうえで最後の30分をどう締めるかが課されます。ただ、(2人とも)先発で出られないわけではないと思います」 評価が高まるなか、江良本人が危機感をにじませたのは4月7日。秩父宮で12チーム中2位の東芝ブレイブルーパス東京に、20-22と敗れた。ラストワンプレーで逆転された。 持ち場のスクラムでは途中まで優勢も、徐々に差し込まれるようになっていた。それだけに「自分たちにフォーカスしきれなかった。相手に合わせてしまった部分がありました。もう一度、僕たちのスクラムを見直して、合わせていきたい」。シビアな自己評価を下した。 「学びの多い試合だなと。もっと、(自分を)高めていかないといけない。悔しいです」 今季ここまで5勝7敗で8位と苦しむクラブにあって気を吐く新星。13日は敵地のIAIスタジアム日本平で、静岡ブルーレヴズとの第13節に16番をつけて挑む。これからの意気込みを聞かれれば、まずは「そろそろ、チームにとって大切な存在に…」と述べてこう続けた。 「この経験をさせていただいていることに感謝して、チームの勝利に貢献できるように頑張っていきたいです」 (文:向 風見也)