「レイアースは海ちゃんが好き」マンガ家ふせでぃが“人生をかけて追う”モチーフとは
「面白い原作が描けるようになりたい」
――漫画を描くときのモチベーションは? ふせでぃ ネームと作画で違います。ネームは、できれば人が見たことがないものを目指したい。一方、作画は自分が楽しむっていうのを大切にしています。絵を描くことが好きなので、逆にそれがつまらなくなるときついはずですね。 キャラクターも大切で、前作の『悪いのはあなたです』では主人公が不倫に巻き込まれる受け身タイプだったので、自分からバズりに行く行動派のキャラクターを主人公にしました。 ――ふせでぃさんの初期の漫画作品は人の心の機微が中心でしたが、最近はストーリーにも重心が置かれた印象があります。どういう変化があったのでしょうか。 ふせでぃ 面白い原作を描けるようになりたい。その一心ですね。 自分の幅を広げるために流行っている作品はできるだけ観るようにしています。最近だとNetflixドラマ『地面師たち』とか劇団四季の『美女と野獣』とか。なるべくお金を使って自分の感情を動かしています。 ――作品を観る時はメモを取る方ですか? ふせでぃ メモを取ることもありますけど、基本的には良かったところを言語化して、話すようにしています。 ――漫画の作画作業で、映像作品を流したりしますか? ふせでぃ 私は作画の時に映画とかを流しながら作業するのが難しくて。場面ごとに音楽を変えたり、YouTubeの自己啓発系動画とか、日本の歴史・世界史とかを流したりしています。
人生をかけて追う「女の子」というモチーフ
――ふせでぃさんは昔から女の子のイラストを発表していました。当時と現在で共通するコンセプトはありますか? ふせでぃ 女の子を描くのが好きなんです。昔、美大の授業で「何のモチーフに魅力を感じるか」を発表したことがあるんですけど、その頃から「女の子」って言ってましたね。 ――どういうところがモチーフとして惹かれるんですか? ふせでぃ 女性は曲線がきれいだから、ふくよかな子でも、瘦せてる子でも、やっぱり描いていて楽しいですよ。顔もまつげも、全部が好きです。描く上では、年齢とか体形とか、何でもポジティブに受け止められるかも。好きなところを探しちゃいます。 ――最近もグループ展に参加されていましたが、漫画制作との違いは? ふせでぃ グループ展などでイラストや絵画作品を展示するのは自分が楽しむ趣味の時間に近いです。ファンに会いたくて参加している部分もありますね。私が漫画家になる前から来てくださる方もいて、一緒に年を重ねられることがうれしいです。交流を通して「まだ好きでいてくれる人がいる」ってメンタルセットしています。 ――ふせでぃさんにとって大切な時間なんですね。最後に、今後の目標をお聞かせください。 ふせでぃ 自分の最善を常にぶつけて、これからもエンタメを極めていきたいです。やっぱり人の反応が好きなんですよね。読者の方から「泣きました」と感想をいただくと、してやったり! とニヤニヤすることもあります(笑)。読者の方には貴重な時間を使って漫画を読んでいただいているので、感謝しかありません。ありがとうございます。 ふせでぃ 七夕生まれ。東京都出身。武蔵野美術大学卒業後、女の子の切ない恋模様を描いたイラストをSNSで発表。その際のイラストを漫画形式でまとめたことを機に、漫画家として活動を始める。著書に『悪いのはあなたです』『明日、世界が滅びるかもなので、本日は帰りません』(以上文藝春秋)、『全部失っても、君だけは』(講談社)など多数。
ゆきどっぐ