ミドル最強戦の疑惑のドロー判定を巡り議論「奇妙」「酷い判定で試合破滅」
ボクシングの3団体統一の世界ミドル統一王者のゲンナジー・ゴロフキン(35、カザフスタン)が16日(日本時間17日)、米ラスベガスで、元2階級王者、サウル“カネロ”アルバレス(27、メキシコ)と“ミドル最強戦”を争い、三者三様のドロー判定で、ゴロフキンが王座を防衛した。ダウンシーンや明確なクリーンヒットのない試合で、女性ジャッジであるアドレイド・バードが「118-110」でカネロ、デーブ・モレッティが「115-113」でゴロフキン、ドン・トレーラが「114-114」のドロー判定をつけたが、このバードの判定を巡って海外メディアの間で早くも議論が起きている。 英ガーディアン紙は「ゴロフキンとアルバレスの引き分けは議論を起こしている」という見出しで報じた。 同紙は、「世界でベストの2人のファイターは、今も2人のベストファイターのままだ。ゴロフキンとアルバレスとの12ラウンドは論争を起こすものではなかったはずだが、スコアカードは奇妙なものだった」と、このバードの判定に疑念を提起した。 「エキセントリックなバードは明らかに接戦であったファイトであるのに、メキシコのアルバレスに118-110とし、モレッティはこれよりは賢明に115-113とした。トレーラは正当だと理由づけるのに十分な証明であるかのように114-114の引き分けとした」と、3人の判定結果を分析。さらに「ネバダ州の経験ある判定者であるはずのバードのスコアを容認することはできない。彼女は調子が悪かったのかもしれないが、スポーツにとってはひどい夜だった」と続けた。 三者三様ドローの判定で統一王者のゴロフキンは世界主要3団体のタイトルを守ることになったが、ガーディアン紙は、「Tモービルアリーナの22,358人の観衆は決定的な答えが欲しかった。ミドルウエイトで最も強いのは誰なのかを」と伝え、記事を書いたケビン・ミッチェル記者は「ガーディアンの記者席からは、その答えはゴロフキンだった。その差は大きくない。いくつかのラウンドはかなりの接戦で判定をするのは難しいものだった」と、ゴロフキンの勝ちを主張した。 もっとも権威のある米国のボクシング専門誌で、その認定ベルトをアルバレスに与えている「ザ・リング」の電子版は、「ひどいスコアカードで素晴らしいファイトを破滅させるな」という見出しで報じた。 「この試合のスコアカードは、結果を反映したものではない。我々はバードがペンを走らせて誰かの将来を台無しにすることがないよう、怒らなければいけない」と厳しくバードの採点を批判した。 記事はこの日の対戦については「ボクシングのファイトはこのようにあるべきだ」と称賛したうえで、「よいニュースは、この2人は再び戦うことになりそうで、我々はまた36分間のバイオレンスを見ることができる 」と、再戦の可能性が生まれていることを伝え、「アダレイド・バードがリングサイドにいない限り、1000フィート以内にいない限り、我々は満足するに違いない」と、皮肉を込めて再戦への期待をつづった。