兵庫県立美術館で「パウル・クレー展──創造をめぐる星座」が開催。同時代の前衛芸術家との関係からクレーをとらえ直す
兵庫県立美術館で2025年3月29日より開催予定の「パウル・クレー展──創造をめぐる星座」。その展示構成や関連イベントなどの続報が発表された。 パウル・クレー (1879~1940)はスイス・ベルン生まれ。生前よりその独創的な画風から高い評価を受けており、現在では20世紀前半に活躍した重要な美術家のひとりとして知られている。 「この世では、私を理解することなど決してできない。なぜなら私は、死者たちだけでなく、未だ生まれざる者たちとも一緒に住んでいるのだから。」 パウル・クレー クレーによるこの言葉は、1920年にクレーの作品を売り出した画廊によって、「孤独に瞑想する芸術家」としての彼のイメージを広める販売戦略に使用されてきた。実際、クレーは人生の根源的な悲劇性と向きあいながら、線と色彩といった抽象のなかに生命のエネルギーを描き出すという作風であったが、そのいっぽうで、同時代の前衛芸術家たちと同様にその展望を共有しながら生き抜いてきた人物でもある。 本展では、スイスのパウル・クレー・センターの学術協力のもと、クレーと交流のあった芸術家の作品との比較や、当時の貴重な資料の参照を通じて、多くの人や情報が構成する星座(=コンステレーション)のなかでクレーをとらえ直し、「詩と絵画」「色彩の発見」「破壊と希望」「シュルレアリスム」「バウハウス」「新たな始まり」といった全6章で構成。ミュンヘンのアカデミーに学び、帰郷後再度ミュンヘンにてカンディンスキーやフランツ・マルクら青騎士の芸術家たちと出会うまでの時期から、ヒトラー政権樹立により「ユダヤ人」とみなされ、140点もの自作が「退廃芸術」として美術館から没収される危機の時代に至るまで、その生涯にわたる創造の軌跡をたどるものとなる。 なお、本展のナビゲーターは声優の伊東健人が務めるほか、会期中には学芸員やミュージアム・ボランティアによる解説会、こどものイベントなどの関連イベントも実施予定となっている。