星野真里「この子の成長を見ていける」愛娘の病気『先天性ミオパチー』という診断は不安よりむしろ明るい情報だった
“筋生検”を受けるためには少なくても2歳まで待つ必要があった
筋生検とは全身麻酔を施し、筋肉繊維や組織を調べる検査である。 「でも、その検査を受けるためにはやはり体がある程度は大きくなってからでないと出来ない、少なくても2歳を越えてないと駄目だということでした。その時期が来るまで待って検査して、そこで初めて“先天性ミオパチー”という病気だということが判りました」 先天性ミオパチーとは筋肉に先天的な異常があるため、筋力低下などを発症する病気だ。呼吸筋に影響が及ぼすと人工呼吸器が必要になってくる。 「初めてその病気のことを聞いた瞬間は“なんで私が!?”って思ったり、周りで健康に育っているお子さんのことを羨むことはあったと思います。実は検査結果が判る前、最初に診ていただいた時に、“外科的処置を施さないと2歳まで生きられるかどうかは判らない”と言われ、 “想像を遥かに超えた現実が来るかもしれない”とも言われていたんです。だから『先天性ミオパチー』という診断が不安を抱かせたのではなく、“これからも一緒にいられる、この子の成長を見ていける……”と、むしろ明るい情報として私たちの家族のもとに来てくれたんだと捉えるようにしました」 そして、ふうかさんと生活を育む中で、支えてくれる制度を知ったり、多くの人々の温かさに触れる機会に巡り合った。そこで星野さん自身も「こんなにも温かい世界があるんだよ」ということを、世間にもっと知ってもらうために“社会福祉士”の資格を取ることを決意した。 「現状、私が持っているのは試験勉強で培った知識でしかなくて、実際の現場でリアルに起きていることの方がもっともっと情報量は多いですし、問題も複雑で、決してそういうものに対して何かアドバイスが出来るような状況ではないんです。でも、いま言えることは娘を通して知り得た育児の大変さであったりとか、いまある制度がこれからこうなったら良いのになという希望だったり願いだったりするんです。細々とではありますが、そういったのを発信できるような場を作って、多くの人に知ってもらえるように届けられればなって。その為にもこれから社会福祉士という資格を活かせていけたらなって思っています」 星野真里(ほしの・まり) 1981年7月27日、埼玉県生まれ。O型。T156。幼少の頃から児童劇団に所属しCMやテレビドラマに多数出演。2005年に公開された映画『さよならみどりちゃん』で映画初主演を果たし、第27回ナント三大陸映画祭で主演女優賞を受賞。近作に、『ビリオン×スクール』、『全領域異常解決室』などのドラマや『新生!熱血ブラバン少女。』などの舞台がある。 鈴木一俊
鈴木一俊