九州電力玄海原発の事故対応拠点が落雷で2度停電…昨年9月の被害後に国と協議、「誘導雷」対策強化へ
九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)で事故が起きた際の対応拠点となる佐賀県オフサイトセンター(同県唐津市)で昨年9月、落雷被害による停電が2度にわたって起きていたことがわかった。施設内の設備機器を管理する「中央監視制御装置」が7日間、故障するなどした。 【地図】九州電力玄海原子力発電所の位置
県危機管理防災課によると、9月15日午前4時半頃、落雷でセンター一帯が停電。その際、地中を通して電気が流れる「誘導雷」により、装置が故障したとみられるという。このため、非常用電源への切り替えが自動で行われなかった。同日午前8時半頃に出勤したセンターの職員が気づき、外部業者を呼んで手動で切り替え、午前10時半頃には復旧したという。
同月21日朝も落雷で一帯が停電し、装置の故障の影響で非常用電源への切り替えが自動で行われなかった。非常用電源の制御盤が故障していることも判明した。ただこの日は装置の修理が予定されており、午前8時半から正午までセンター内を停電させて作業が行われた。午前中に停電は復旧、その後に制御盤の修理も完了した。
同課の担当者は「災害時は電源の確保を速やかに行うことが重要だが、対応に問題や遅れはなかった」としている。
県は、誘導雷への対策を強化するため、被害後に国と協議。国は今年3月に施設整備に関する運用指針を改定し、誘導雷への対策が明記された。また県は、来年3月までに、地中からの誘導雷が機器に到達する前に遮断できる装置を増設したり、外部業者を呼ばなくても手動で非常用電源に切り替えられるようにしたりして、対策強化を図るとしている。
オフサイトセンターは、原子力災害時、国や地方自治体などが一堂に会して情報を共有するための拠点施設。1999年に茨城県東海村の核燃料加工会社での臨界事故を機に、原子力災害対策特別措置法に基づいて政府が設置を進めた。