具志堅用高の記録に挑む鉄女ボクサー
■少ない選手人口でも努力は世界王者以上 挑戦者選びに苦労するほど女子ボクシングの競技人口は薄い。日本でプロが認可されて、まだ5年目。五輪競技にも、去年のロンドン五輪から入ったばかりだ。特に日本人女子は、軽量級に限られてくるから、パンチ力や迫力にも欠け、なかなかプロ興行としての面白みを出すことにも苦労している。そこでの世界記録の防衛記録と、具志堅の防衛記録を同列に報じることは論外なのかもしれない。だが、ひとつだけ言えることは彼女の練習への取り組み方と、青春と生活のすべてを捧げるほど、ボクシングと真摯に向かい合ってきた姿勢が、その積み重ねてきた記録に決して恥じないものであるということである。どこかの世界チャンピオンより、よっぽど小関の方が厳しい練習をしている。 ――王者になって5年。よく11度の防衛中にモチベーションを維持できてきましたね。 「マンネリにならないのか?とも良く聞かれますが、まったくないんです。まだ何も極めていないから。維持するものも守るものもない。『まだまだ』と、毎試合思っていて勝つことに、ただ必死ですから、モチベーションの下がりようがないんですよ」 ■怖さを克服するために練習する 小関は、まるで少年みたいな可愛い顔をして笑った。 「試合は怖いんです。アドレナリンが出ているので殴られても痛さは感じませんが。何度リングに上がってもやっぱり怖い。負けれないという怖さもあります。その怖さを克服するために練習するんでしょうね。何度も会長と喧嘩して『もう辞める』と言っていますけど(笑)。ボクシングが好きなんでしょうね」 14日に戦う12度目の防衛戦の相手は、青木ジムの有吉会長曰く「過去最強のパンチ力を持った危ない相手」だそうである。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)