具志堅用高の記録に挑む鉄女ボクサー
■ボクシングだけでな生活ができない 「11度防衛しても、まだまだ女子はボクシングだけで生活は難しいですよ」 午前中から午後は、介護施設での食事を用意する仕事。日本女子体育大出身で栄養士の資格も持っている。対人関係が苦手で転職が多かったが、この仕事は長続きしている。夕方からは高田馬場の青木ボクシングジムへ。シャドー、サンドバック、ミット打ちと、息をつく暇もなく15ラウンド。週に2、3度入れているスパーリングは、今回の挑戦者のパンチ力とパワーを想定してミニマム、ライトフライ級の男性の4回戦クラスと重ねた。 休日は週に一度。「サプリメントとか練習用具とかを買いにウロウロとしていると一日が終わってしまうんです」。あまりに自らを過酷に追い込むため、1日、3000カロリーの食事を取っているにも関わらず体重は、すぐにアトム級のリミット、46.26キロを割る。体脂肪は7%から8%しかない。31歳になるが、その練習量は凄まじい。11度防衛の鉄女たる所以。 「足に力が入らなくなったり肩や首あたりが異常に凝ったり……年齢を感じます(笑)。でも体力的には35歳までは落ちないと聞いています。年齢の影響って、怪我などをしてしまい、それが原因で練習ができなくなることでしょう」 ■理想はWBC世界Sフライ級王者の川島郭志 求めている理想のボクシングスタイルがある。 「打たさずに打つ」 小学4年の頃、WBC世界Sフライ級王者の川島郭志の世界戦を見た。“アンタッチャブル”と呼ばれた高いディフェンス技術を誇った王者である。「試合後の川島さんの顔が綺麗なんです。辰吉丈一郎さんはカッコいいけど、私には無理無理と思ってけれど、川島さんのボクシングならできるかもと思ったのが、やり始めたきっかけなんです」 その心象風景がずっと理想の残像となって残っている。 「相手に心身共に『小関とは何度やっても勝てない』と思わせるほどのパーフェクトな試合をしたいのです……できないくせにね」