岩塊除去11月末完了 黒部トロッコ 全通、見通せず
能登半島地震でトロッコ電車ルートの橋が損傷し、対策工事を進めている黒部峡谷鉄道(黒部市)と関西電力は27日、復旧計画の進捗(しんちょく)について、第1工程となる橋付近の山の不安定な岩塊除去が11月末にも完了するとした。全体工事を終えてトロッコ電車が全線開通できる時期は依然、見通せないとした。 【写真】不安定岩塊を25%まで除去した現在の状況 市内で開いた説明会で明らかにした。地震で損傷した鐘釣(かねつり)橋付近にある東鐘釣山岩峰の高さ14メートルの岩盤が沈み込む形で崩落しており、7月25日に除去に着手した。約40センチ分ずつ火薬を使って砕き、現時点で3・5メートル分、全体の25%まで進んだ。 岩塊の除去後には▽岩盤接着▽冬季の工事休止▽岩盤接着▽防護工設置▽鐘釣橋梁(きょうりょう)復旧―と5段階の工程があり、除去後の岩盤状況を見極めないと、今後の工事全体量も明確にできないという。終点・欅平(けやきだいら)駅付近の地割れ、擁壁ひび割れ、電車線支持柱変形の復旧も進める必要がある。欅平駅を起点とする黒部宇奈月キャニオンルートの一般開放時期も不透明とした。 切り立った崖の作業現場には簡易モノレールやはしごを設置し、晴れた日に作業員8人が2時間かけて入って岩塊除去を進めている。 ●乗降客目標は維持 黒部峡谷鉄道の担当者は今シーズンの乗降客数目標55万人は維持する方針をあらためて示した。26日時点の乗降客数は前年同期比8%減の25万5千人だが、宇奈月―猫又駅間で折り返し運転となっている猫又駅を10月5日からは雄大な自然を満喫できるよう乗降可能にする対応などで、目標達成に努める。