地下に佇むスコッチの銘店「Bar HEATH」(国立)|whiskyを愉しむBAR
■伝説的バーの精神を継ぐ スコッチの秘密基地 BARTENDER 大川 貴正さん(バーテンダー歴43年)すっかり日が短くなったこの季節。ビルの地下へと続く階段に、看板の白い灯りが冴え冴えと浮かび上がる。黒い字体でシンプルに書かれた店名は「ヒース」。スコッチといえば・・・・・・と、愛飲家の間で名前が挙がるほどの銘店だ。 【関連画像】地下に佇むスコッチの銘店「Bar HEATH」(国立)|whiskyを愉しむBAR 木の扉を開けると、地上とは隔絶された秘密基地空間が広がる。 ブリティッシュバーをイメージした20平米の小さな空間に、スコッチを中心としたボトルが約300本。スコットランドに由来するタータン・チェック風のベストを着てカウンターに立つのが、マスターの大川貴正さんだ。 産地に通って学んだ豊富な知識を持ちながら、うんちく語りになってしまうからと、あえてあまり酒の話をしないのが自分の流儀だと話す。この店では肩の力を抜き、ただただウイスキーを愉しめば良い。 一杯お願いすると、スコッチにならって造られたイチローズモルトの“特別版”を選んでくれた。蒸留所でテイスティングし、最もオリジナリティを感じたものを樽買いしたという。 グラスに注いだ瞬間に立ち上がる芳醇な香りは、口に含むとぐっと鼻に抜けていく。水の入ったピッチャーを添えるのがスコットランド流。ウイスキーに少し加水してみると、甘みが増して口当たりが丸くなる。 大川さんがシングルモルトをメインにしたバーを開きたいと考えていたときに出会ったのが、日本のバー文化のさきがけとなった東京・新橋の「トニーズバー」(2009年閉店)の故・松下安東仁氏。その仕事に一目ぼれして弟子入りを志願した。 「当時日本でシングルモルトを知る数少ない人物でした。マニアックな銘柄を求めるお客さまには、君にはまだ早いと断る人でしたね」と懐かしむ。 師が営んだバーの「空気感やスピリットなどを受け継いだ」という「ヒース」。その居心地の良さに、まだまだ帰れそうにない。 ■■冬の一杯 イチローズモルト HEATHオリジナル (3000円)HEATHと、大川さんの弟子が営む「Bar T.O」でしか飲めないオリジナルのイチローズモルト。造り手の肥土伊知郎さんとは、蒸留所ができる前からの付き合いだという。 Bar HEATH 東京都国立市東1-15-24 サニービル地下1F TEL:042-573-5135 営業時間:19:00~23:30 チャージ:500円 席数:8席 定休日:日曜 アクセス:JR「国立駅」より徒歩3分 文/中村さやか 撮影/むかのけんじ