日本企業の水リスク開示は4割増、「淡水管理」にも注目集まる: 国際環境NGO調べ
記事のポイント①日本企業の水リスク開示は4割増、「淡水管理」に注目が集まっている②CDPによれば、世界全体でも水リスク開示は24%増で水使用量も22%削減された③一方で、生物多様性への依存を評価した企業は10%未満など課題も残る
英国の非営利団体CDPはこのほど、企業の自然資本に対するリスク対応について調べた。2023年度に水リスクへの開示を行った国内企業数は前年度比4割増となり、「淡水管理」に注目が集まっていることが明らかになった。世界全体での水リスクへの開示も24%増となり、水の使用量は22%削減した。一方で、生物多様性への依存を評価した企業は1割未満など課題も残る。(オルタナ編集部=萩原 哲郎)
CDPがまとめたデータによれば、2022年のCOP15で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」が契機となり、生物多様性に関するデータを開示した企業は43%増となった。水リスクは23%、森林リスクも10%増となった。バリューチェーンが生物多様性に与える影響を評価する企業数も20%増となった。 日本企業でも水リスクの開示が約40%増と大きく増えた。世界の企業でも水リスク開示は増加するとともに、これに伴って水の使用量も削減された。 一方で、課題も残った。生物多様性の損失が世界経済に与える金額は、年間で4~20兆米ドル(約611~3057兆円)に上るが、生物多様性への依存を評価する企業は10%未満だった。金融機関や投資家の対応の遅れも指摘した。 CDPのシェリー・マデーラCEOは11月1日までメキシコのカンクンで開催しているCOP16(国連生物多様性条約第16回締約国会議)で、「各国政府はこのデータを国家計画に活用し、先導的な企業にインセンティブを与えるなど、効果的な追跡方法を策定する必要がある」とコメントした。