欧州リスクに新たなヘッジ手段、オプショントレーダーの間で人気化
(ブルームバーグ): 欧州のヘッジ手段としてオプショントレーダーにこれまで常に好まれてきたのは、ユーロストックス50指数だった。それが変わり始めた。
政治的不透明性や利下げ、選好されるセクターの変化などが進行する中で、別の指数がオプション投資家の間で人気を得つつある。それは、より幅広い銘柄で構成されるストックス欧州600指数で、同指数には英国の銘柄も含まれる。
ストックス600のオプション売買高は年初来で既に630億ユーロ(約10兆7000億円)に上り、昨年通年の合計額を上回った。年初来で5兆7000億ユーロを超えるユーロストックス50のオプション取引に比べればまだ規模は小さいが、流動性の向上によりストックス600のオプションに大口のブロック取引が現れ始めた。
欧州のオプション取引で最大級のマーケットメーカー、オプティバーでグローバル・マクロ取引責任者を務めるヨルーン・クルック氏は、欧州の典型的な株式ポートフォリオを守るには幅広い指数の方が適していると指摘した。
ストックス600を使ったヘッジは、割安でもある。ブルームバーグがまとめたデータによると、オプション価格の指標であるインプライドボラティリティーは3カ月物で、ストックス600のオプション価格がユーロストックス50との比較で約2年ぶりの割安な水準にあることを示している。
「選挙など地政学的なイベントに際し、投資家は平均的な株式ポートフォリオのヘッジ手段としてストックス600を好む可能性がある」とクルック氏は述べた。
ストックス600のオプションはさまざまな市場関係者が利用しつつあり、利用方法はそれぞれ異なる。オプティバーによると、このオプション売買の約80%を資産運用者が占め、その90%がブロック取引だった。これに対し、ユーロストックス50のオプションは60%がヘッジファンドによって取引され、ブロック取引は50%に過ぎなかった。
原題:Options Traders Warm Up to New Ways of Hedging Europe Risk(抜粋)
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Michael Msika, Jan-Patrick Barnert