親族に扶養照会が行くのが不安で「生活保護」を受けられません。どうするべきでしょうか...?
「生活保護の申請を考えているが親族に扶養照会がいくことへの不安から踏み切れない」 という方は少なくないようです。この記事では、そのような状況にある人に向けて、どうするべきなのかを考えていきます。
扶養照会とは何か、なぜ行われるのか
扶養照会とは、生活保護の必要性の判断材料の1つとして行われるものです。内容は、扶養義務者に対して 「生活保護の申請をされた方(申請者)の扶養ができないか」 と問い合わせをするものです。 扶養義務者とは、父母や祖父母のほか、兄弟姉妹など、一定範囲の親族が該当します。扶養照会は、扶養義務者からの扶助が生活保護に対し、優先されるため、扶養義務者から扶助が受けられないかを確認する意味で行われています。 例えば、本人の収入が0円、貯金も0円という場合であっても、 「親に月50万円の収入がある」「1000万円の資産がある」 というような場合もあります。扶養照会は、そのように親族に資力のある状況を想定し、まず親からの支援で生計が維持できないか、確認をとる仕組みです。 この扶養照会を嫌がり、生活保護の申請をためらう人は少なくありません。 2020年12月31日~2021年1月3日にかけて、一般社団法人つくろい東京ファンドが実施したアンケートによれば、生活困窮者のうちおよそ3人に1人が 「家族に知られるのが嫌」 との理由で生活保護を利用していない (調査時点現在。また、調査時点では利用していないが、過去に利用経験がある方も含む) との結果が出ています。 また、この 「利用していない方」 のうち、およそ4割が 「親族に知られることがないなら利用したい」 とも回答していることから、扶養照会の存在が生活保護の受給において大きなハードルとなっていることが分かります。
扶養照会が行われないようにするためには?
2023年現在において、扶養照会は生活保護における絶対の要件ではなくなっています。具体的には、DVや虐待の疑いがあったり、10年以上、長期の音信不通であったりするなど、扶養照会によって身の危険が生じる場合や、扶養が期待できない場合は、扶養照会を行わないことが基本となっています。 また、不必要な扶養照会が行われないように、ていねいな対応と配慮が必要だとする通達も出されています。扶養照会が行われることに抵抗がある場合はその理由を説明し、拒否する意思を明確にすることで、扶養照会が行われないようにすることも可能になりました。 扶養照会が行われるべきではないという事情があれば、しっかり説明ができるよう、生活保護の申請時には状況をまとめ、担当者からの理解が得られるように準備をしておくべきです。とはいえ、単に自身の感情の問題から扶養照会を嫌悪している程度では、扶養照会の拒否ができないのが原則です。