ウォール街の靴磨き職人、生き残り賭けスニーカークリーニングに転向
コレッティ氏は「店の入り口にいて通り過ぎる人を見ていると10人中8人がスニーカーを履いている。様変わりだ。ウォール街はもうウォール街ではないので、靴磨きに来る人は減っている」と話した。
コスト上昇も靴磨き店を直撃している。近年のインフレが人件費と革や靴墨などの材料を高騰させたため、アンソニーズ・シュー・リペアの靴磨きの値段は以前の5ドルから今年は10ドルに上がった。靴磨き店はそれでも苦戦している。「以前のようにはいかないし、これからもいかないだろう」とモロチョは話した。
アンソニーズ・シュー・リペアの10ブロック北にあるエディソンズ・シュー・リペアも、スニーカーのクリーニングサービスを提供している。しかし、スニーカーへの多角化だけでは十分でない場合もある。モロチョ氏の店から歩いて2分のところにあったアーノルド・シュー・リペアは今年初めに永久閉店し、エディソンズ・シュー・リペアはパンデミック後に3店舗を閉鎖した。コレッティ氏はかつて16人の従業員を抱えていたが、現在は自身と従業員2人、パートタイム1人という陣容だ。
「かつてはとても忙しかった。1990年代にはメリルリンチと契約していた。大金を稼いだ」と同氏は振り返った。
靴磨き職人の中には、この分野に参入する若者が減っているため、技術が絶滅の危機に瀕していると言う声もある。「若者はこの技術を学びたがらない。20年後くらいには、この仕事をする人、この仕事に興味を持つ人を見つけるのが難しくなっているだろう」とモロチョ氏は語った。
原題:Wall Street Shoeshiners Turn to Cleaning Sneakers to Survive(抜粋)
--取材協力:Gabriel Sanchez、Hannah Levitt.
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Ignacio Gonzalez