日本のバンタム級から目が離せない
伸びしろしかないIBFチャンピオン
西田は12月15日に地元大阪にアンチャイ・ドンスア(タイ)を迎えてIBF王座の初防衛戦に臨む。4人のチャンピオンでは唯一関西圏の選手で、興行的にも別路線(タイトル獲得戦はABEMAが中継)だったが、今回はU-NEXTに決定した。U-NEXTが日本人選手の世界戦ライブ配信に乗り出す新シリーズの第1弾である。陣営ともども他団体王者との統一戦や那須川との試合に意欲的な姿勢である。 西田はサウスポーのボクサー型。IBF王座を奪取したエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)との試合では、アウトボクシングのみならず接近戦でも押し負けず、新しい魅力をアピールした。 最近では珍しく、ボクシングを始めたのは高校に入ってからという点も、豊かな伸びしろを感じさせる。大学でボクシングをリタイアするつもりが不完全燃焼に終わったため、プロに転じた。 キャリアは9戦9勝1KOで4人中もっとも浅いが、負けにくいスタイルを持っており、関係者の間でも高く評価されている。世界ランカーの大森将平戦、元世界王者の比嘉大吾戦など「冒険マッチ」と目された試合で不利予想を覆して台頭した。その最たる例がロドリゲス戦といえる。 このロドリゲス戦は、「勝っても負けても引退」のつもりで臨んでいた。ボクシングをやり切るというプロ入り時の目標が根底にあるから、世界チャンピオン相手に全力を注ぎこむ試合ができればそれでいいと考えていたのだ。一戦にかける思いも西田の強さの秘密だろう。 くどくなるが、まずは西田と武居が防衛戦をクリアすること、なればこそ来年のバンタム級の展望が非常におもしろくなる。
VictorySportsNews編集部