少子化対策関連法成立、児童手当や育休給付拡充 財源確保に保険料上乗せで徴収
岸田文雄政権が今国会の目玉政策と位置付ける少子化対策関連法案が5日の参院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決、成立した。児童手当や育児休業給付の拡充が柱。財源確保のため、公的医療保険料に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金」を令和8年度に創設する。 首相が昨年1月に「次元の異なる少子化対策」に取り組むと表明後、約1年半かけて議論してきた政策が順次実行に移る。少子化傾向は年々加速しており、歯止めがかけられるかどうかが問われる。 同法では、経済的支援を手厚くするために児童手当の支給を高校生年代まで延長し、所得制限を撤廃する。第3子以降は月3万円に倍増する。このほか、親の就労に関係なく子供を預けられる「こども誰でも通園制度」を8年4月から全国で開始し、保育サービスも強化する。 一方、支援金は8年度から徴収を始め、10年度には1兆円とする。個人の負担額は加入する公的医療保険や収入で変わり、政府は会社員らの被用者保険、自営業者らの国民健康保険、75歳以上の後期高齢者医療制度についてそれぞれ年収別に試算。負担額は月50~1650円と示した。支援金制度創設に伴う子供1人あたりの給付拡充額は平均約146万円としている。 政府は国会での審議で、支援金について社会保障の歳出削減の範囲内で構築するため「実質的な負担を生じさせない」と繰り返し主張する一方、具体的な削減額などには踏み込まなかった。野党は「事実上の増税だ」などと批判した。