夏の王者・旭川実が過去3年敗れていた北海に雪辱。3発逆転勝ちで6年ぶりの選手権へあと1勝:北海道
[10.27 選手権北海道予選準決勝 旭川実 3-1 北海高 札幌サッカーアミューズメントパーク] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 宿敵に逆転勝ちの旭川実が、全国王手。第103回全国高校サッカー選手権北海道予選準決勝が27日に札幌市東区の札幌サッカーアミューズメントパークで行われ、旭川実高と北海高が激突。旭川実が3-1で逆転勝ちした。旭川実は11月2日の決勝で札幌大谷高と戦う。 旭川実はインターハイ予選で4連覇中だが、選手権予選では北海の壁に阻まれていた。前回大会決勝は延長戦で惜敗。2021年度決勝と2022年度準々決勝はいずれもPK戦で敗れている。勝って選手権予選を3連覇していた北海に対し、今回、逆転勝ち。注目CB渡邊航生(3年)は「めちゃめちゃ嬉しい。高校入って初めての選手権の時、観客席で見てて、北海にPKで負けていて去年も決勝で(札幌)ドームで負けてたのがあった。(打倒・北海へ)凄い自分はこだわりが強かったです」と明かし、U-17日本高校選抜のFW清水彪雅(3年)も「とりあえずまだ準決勝ですけど、北海に対して勝てたのはチームとして大きい」と宿敵撃破の喜びを噛み締めていた。 旭川実の先発は、GK吉田翔(3年)、DFは右から森裕雅(2年)、峯村悠太(3年)、渡邊、西里有仁(3年)の4バック、萩野琉衣主将(3年)と柿崎陽太(2年)のダブルボランチ、右SH高杉龍乃介(3年)、左SH鈴木琉生(3年)、トップ下がU-17日本高校選抜候補の澁谷陽(3年)で最前線に清水が入った。 一方、北海はGK鈴木庵(3年)、DFは渡部雄大主将(3年)、加賀谷心(3年)、西垣凌羽(2年)の3バックで右WB熊谷颯(3年)、左WB井波秀樹(3年)。中央はアンカーの谷口健太(2年)の前に曵地優斗(2年)と中村友哉(3年)が並ぶ形で構成し、2トップをプリンスリーグ北海道12発の岡野琉之介(3年)と増谷拓海(2年)が務めた。 前半、旭川実の富居徹雄監督(2024年U-17日本高校選抜監督)は、「硬かったですよ。ちょっと警戒しすぎてるところがあって」と振り返る。萩野や柿崎が係わりながらビルドアップにチャレンジしていたが、全体的に相手守備ブロックの外側でボールを回す形に。12分、17分と高杉がドリブルでマークを外してクロスへ持ち込み、22分にはPAの澁谷が粘って左足を振り抜くシーンもあったものの、前線の清水、澁谷へ縦パスを差し込む回数が少なく、同サイドに追い込まれてボールを失う回数が増えてしまっていた。 一方の北海は、前線で打開力を発揮する岡野と高さのある増谷を活用。相手の背中を取るなどキレと迫力のある動きで前進する岡野と、キープ力も見せた増谷が中心となって旭川実を押し込む。また、熊谷のロングスローで相手DFに圧力を掛けたほか、セカンドボールなど密集への反応も速く力強い。ペースを握ると、前半15分にはこぼれ球を熊谷が左足で狙い、前半30分にも井波の左クロスをファーの曵地が1タッチで合わせる。 だが、曳地の一撃は旭川実GK吉田がファインセーブ。旭川実は相手のロングボール、セットプレーを一発でクリアし切れないシーンもあったが、渡邊と峯村、吉田が中心となって相手の高さに対抗する。北海DF陣も渡部、加賀谷を中心に声を掛け合いながら、旭川実の攻撃に対応。0-0で前半を折り返した。 後半、旭川実は澁谷が引いてボールを引き出す回数を増加。ボールが動き出し、右サイドへ抜け出した柿崎のクロスや渡邊のロングスローなどで先制点を狙う。対して北海は12分に曳地とMF藤岡侑摩(3年)を交代すると、16分にゴールをこじ開けた。 左スローインの流れから井波がクロス。これを中央でトラップした藤岡が後方へ落とし、熊谷が右足を振り抜く。シュート性のボールをゴール前の増谷が左足1タッチで左隅へ押し込んだ。 均衡を破る一撃に大喜びの北海イレブン。だが、すぐに旭川実が追いつく。18分、渡邊が自陣左タッチライン際での1対1でインターセプト。そこからボールを運んでサイドを変える。そして、右中間でセカンドボールを拾った高杉から清水を経由し、中央の澁谷がターンしながら左へパス。これを受けた鈴木が左足を振り抜く。北海はGK鈴木が反応し、DFがこぼれ球をクリアしようとするが、そこへ身体を投げ出すように突っ込んだ清水がPKを獲得。そのPKを「すごい練習でPKは蹴っていたので、自信はありました」という清水が右足で左へ決め、1-1とした。 終盤へ向けて球際の激しさが増す中で迎えた30分、旭川実は澁谷が左サイドでのキープでスローインを獲得。渡邊のロングスローの流れから西里がゴール前へ浮き球のボールを入れる。このこぼれを拾った森が右へ持ち出してから右足を一閃。運動量を持ち味とする2年生右SBのシュートが左隅に決まり、逆転した。 追う展開となった北海は35分に増谷をFW輪島丞(3年)へ、40+1分には谷口と中村をMF角田蓮(3年)とFW大貫祐基(3年)へ入れ替えて反撃する。北海は前に出る力を見せていたものの、旭川実は萩野や柿崎が運動量を増加。1人で奪い切れなくても、2人、3人がかりでボールを回収する。また、攻守で効いていた渡邊を中心にロングボールも跳ね返していた。 40+2分には敵陣での攻防から高杉がセカンドボールを回収。柿崎がドリブルで運び、そのまま左足を振り抜く。GKの手前でバウンドしたボールが右隅に決まって決定的な3点目。旭川実が決勝進出を果たした。 旭川実の富居監督は「北海さんが(対応して、)もうしっかりブロック敷いてやっていますよ。どの県にもある現象だと思うんですけど、あれを超えないといけない」という。相手の戦い方に合わせる形になるのではなく、よりボールを繋いで、意図的に守備ブロックを攻略する力の必要性を口にする。それでも、インターハイでの青森山田高戦での敗戦(1-7)から意識してきたというロングボールやセットプレーの対応の積み上げも示して勝利。6年ぶりの選手権出場へ、「自分たちの代で次こそは」(渡邊)の思いも持って決勝を戦う。
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