総選挙の出口調査でメディアは老人だけを選ぶ? サンプル調査のため全員には聞かない【ファクトチェック】
衆議院選挙で報道機関が実施した出口調査について「自分は調査されなかった、報道機関の出口調査は老人ばかり選んでいる」という言説が拡散しましたが、誤りです。出口調査はサンプル調査のため全員には聞かず、世代などによる偏りを避けるために万遍なく聞くように設計されています。
検証対象
2024年10月27日投開票の衆議院選挙で「期日前投票行ったら出口調査やってたんだけど老人は待たせてでもアンケ取ってたのにボクは自然にスルーされてまさかなと思ってしばらく観察してたらマジで老人“だけ”選んで声掛けてたw」という言説がX(旧Twitter)で拡散した。10月28日現在で、670万の閲覧があり、リポストは1万6000を超えている。 この投稿に「いつもそうだね」「老人の人口が多いですからね、この国は」などのコメントの他、「出口調査は各年齢層満遍なく取りますよ」といった書き込みがある。
検証過程
選挙報道に欠かせない出口調査 選挙報道では、選挙前から選挙区の情勢を細かく取材。さらに世論調査や期日前と当日の出口調査(投票所から出てきた人への聞き取り)で、誰がどれだけリードしているかを予想し、開票段階で逆転不可能なほどに差が開いている場合に、当選確実を出す。今回の衆院選のような国政選挙で、投票締切と同時に選挙結果の大勢が報じられるのはそのためだ。 その根拠となる「出口調査」は、報道機関の調査員が、投票を終えた人にどの候補に投票したかだけでなく、どんな政策を重視するのか、支持政党はどこか、などを聞く。有権者が何を重視して投票したかも分析するためだ。
偏りをなくすため一定間隔を開けて聞き取り
出口調査に関しては選挙のたびに「調査員がいたが自分は聞かれなかった」「投票所に調査員がいなかった」などの言説が拡散する。 出口調査は統計学に基づいたサンプル調査なので、すべての投票所ではなく、一部の投票所だけで実施する。また、すべての投票者ではなく、質問するのはごく一部だ。その際、世代などが偏らないように一定の間隔をあけるなどの手法を取る。 こういった出口調査や当選確実報道の舞台裏については、各メディアの選挙担当者や有識者らが語った舞台裏の記事なども多数出ている(NHK)(BuzzFeed Japan)(東洋経済オンライン)(読売新聞)。