世界遺産「佐渡島の金山」から県内各地へ!観光の広域連携強化 お得な宿泊プランやワーケーションも
弥彦と佐渡の周遊の機運を高めようと、弥彦観光協会などが運営する予約制乗り合いタクシーは、2、3年前から新潟港佐渡汽船ターミナルを乗車場の一つに加えた。三富克是(かつよし)事務局長は「弥彦と佐渡の組み合わせを商談会で積極的に発信したい」と力を込める。 各地の取り組みについて、佐渡市の渡辺竜五市長は「佐渡は新潟県の奥地にあり、島だけに人が来るという発想はない」と話す。「世界遺産をきっかけに連携し、県内をゆっくり楽しむ周遊の仕組みをつくりたい」と今後を見据える。 ◆冬の誘客にワーケーション需要掘り起こし 佐渡観光では、悪天候が続く冬季の誘客が課題となっている。佐渡市は冬にスキー客でにぎわう妙高市と連携し、ワーケーション需要の掘り起こしに乗り出した。また、県などは、まだ佐渡を訪れていない県内客にアピールする日帰りツアーも実施。金山の世界遺産登録後はほぼ満員となり関心の高さがうかがえた。 パウダースノーで外国人の人気を集める妙高市は、佐渡市と連携してワーケーション誘致に取り組む。JR東日本の商品を活用し、佐渡市単独か両市を宿泊地にしてワーケーションを行う企業に新幹線や宿泊の費用を割り引くもので昨夏から3月下旬まで販売中だ。 妙高市企画政策課の担当者は「妙高は山があり冬場に多くの人が訪れる。佐渡は海が魅力で夏場にぎわう。互いに補完しながら周遊につなげたい」と強調する。 妙高市は、海外からのスキー客が多く、ホテルなどリゾート開発の計画も進められている。ワーケーションでの連携が、将来的に訪日客も含めた誘客につながる可能性もある。 また、県などは県内客の需要掘り起こしも視野に入れる。長岡佐渡広域観光協議会では24年8月、寺泊-小木間で高速船チャーター便を使った日帰りツアーを3日間実施した。観光利用の促進を図ろうと、19年から続く取り組み。24年は約320人と定員がほぼ埋まった。 県によると、ほとんどが県内客で初めて佐渡に行く人も目立った。25年も事業化を目指す考えで県港湾振興課は「佐渡を知ることで、リピーターになってもらいたい」と期待を寄せる。 県観光協会の白井健一事務局長は「(一度の来訪で)県内を周遊するのは簡単ではない。佐渡に来て、新潟県の良さを知ってもらい、再訪を促す方法もある」と話している。