高岡御車山祭を描いた最古の絵画史料＝高岡市立博物館

　　●坂下町の8基目、最古か 　高岡市を代表する祭礼で国連教育科学文化機関（ユネスコ）無形文化遺産の「高岡御車山祭（みくるまやままつり）」で、失われた「幻の8基目」の山車（やま）を描いた絵画が初めて見つかった。現在残っている7基に加え、坂下町で引いていたとされ文書でのみ存在が分かっていた「大神楽（かぐら）山車（やま）」が確認でき、御車山祭を描いた最古の絵画とみられる。収蔵した市立博物館は「現在も続く御車山祭の変遷を伝える貴重な史料だ」とする。 【写真】初めて絵画が確認された坂下町の御車山 　博物館によると、御車山祭は、高岡開町の祖・前田利長が高岡城を築く際、御所車（ごしょぐるま）を町民に与えたのが始まりとされる。坂下町は1686（貞享3）年、簡易な太鼓の地車を出すことが認められ、1718（享保3）年から他の7基と同規模の大神楽山車とした。 　しかし、1776（安永5）年、昔からあった山車ではないとの理由で元の地車に戻された。現在、坂下町は山車は持たず、祭では獅子頭で行列を先導している。 　新たに収蔵した資料は縦107センチ、横275センチの「紙本著色高岡御車山祭礼行列絵巻屏風」。8基の御車山と曳き手、山役員らが色つきで描かれている。京都の古美術商が所蔵していたものを高岡市立博物館が買い取った。文字はなく、年代や作者は不明だが、大神楽山車が描かれていることから1718～76年の江戸後期の作である可能性がある。 　博物館によると、高岡御車山祭の行列を描いた最古の絵画は、これまで1883（明治16）年の木版画で、今回収蔵した史料が現在の最古とみられる。24日から「常設展お宝コーナー」で展示し、一般公開する。 　同館の仁ケ竹亮介主幹は「貴重な資料で、状態もとても良い。現在の御車山祭との違いを、じっくり見ていただきたい」と話した。展示は10月27日まで。 　★高岡御車山祭　加賀藩2代藩主前田利長が1609（慶長14）年、豊臣秀吉から拝領した御所車を町民に与えたのが始まりとされる。利長をまつる高岡関野神社の春季例大祭で、市中心部の通町、御馬出町、守山町、木舟町、小馬出町、一番街通、二番町の計7町が豪華絢爛な山車を巡行する。国重要有形・無形民俗文化財で、2016年にユネスコ無形文化遺産に登録された。