世界バンタム級王者・中谷潤人が語る井上尚弥vsルイス・ネリ戦。今後「戦いたい王者」は?
中谷 バンタム級世界王者の中で、拓真選手が一番評価されている選手と思っているからです。『中谷どうなる!?』と周りが心配するような、ヒリヒリした緊張感のある試合をしたい。そのほうが僕自身、より成長できると思っています。 自分の中では、バンタム級4団体すべてのベルトを手にしたいという気持ちは、実はそこまで強くありません。もちろん4本のベルトが揃ったほうが良いとは思います。でもそれ以上に、評価の高い選手と戦いたい、そして勝ちたい、という気持ちのほうが強い。自分自身にとって、強い相手と対峙できることが、ボクシングを続ける大きなモチベーションになっています。 ――中谷選手は4月に『リング』のPFPで10位に入りましたね。 中谷 評価いただけたことについては素直に嬉しく思います。ただ、イメージしていた形でのランキング入りではなかったので、驚いた部分もありました。 ――というと? 中谷 4団体統一のような、形に残る大きな結果を出さなければ評価されないのかな、と思っていました。それでも評価いただけたことに感謝して、もっと上を目指していきたいと思います。 ――井上尚弥選手は5月のネリ戦を受けて、『リング』のPFP1位に返り咲きました(取材時。その後2位に後退)。中谷選手がボクサーとして最大の目標にしているPFP1位を叶えるためには、いずれ尚弥選手と戦わなければならないと思います。 中谷 まだまだやるべきことはたくさんありますが、ファンの方から「いつかは」と期待していただけることは素直に嬉しく思いますし、ボクシングを続ける上で大きなエネルギーをいただいています。 (後編につづく) ●中谷潤人(なかたに・じゅんと) 1998年1月2日生まれ、三重県東員町出身。M.Tボクシングジム所属。左ボクサーファイター。172㎝。2015年4月プロデビュー。20年11月、WBO世界フライ級王座獲得。23年5月、WBO世界スーパーフライ級王座獲得。今年2月24日にはWBC世界バンタム級王座を獲得し3階級制覇達成。27戦全勝(20KO)。ニックネームは〝愛の拳士〟。7月20日に東京・両国国技館でビンセント・アストロラビオ(フィリピン)との初防衛戦を行なう。 取材・文・撮影/会津泰成