世界バンタム級王者・中谷潤人が語る井上尚弥vsルイス・ネリ戦。今後「戦いたい王者」は?
中谷 ローブローで減点は取られてしまいましたが、ああいう印象付けは、効かなくても当てておくだけでも動きを抑えて懐に潜りにくくできるので、より自分の距離、離れた位置で戦いやすくなったのではないでしょうか。 ――マロニー選手は最終12ラウンドのような戦い方を、本来はもっと早いラウンドから仕掛けたいと考えていたんでしょうか? 中谷 そうだと思います。でもそれを抑えた、させなかった武居選手が素晴らしかった。マロニー選手がまっすぐ詰めてプレッシャーをかける場面はあまりなかった。特に前半はまっすぐ攻めたらボディを合わせられると警戒して回らざるを得なかった。そのあたりで、武居選手はスタミナを温存しつつ、試合をコントロールできました。ただ、最終12ラウンドにマロニー選手から圧力を強められると、武居選手はスタミナ切れもあって崩れてしまった。そのあたりは今後の課題かもしれませんね。 ――WBA王者の井上拓真選手と石田匠選手の試合についてはいかがでしょうか。 中谷 試合内容も予想通りでしたので驚きはありませんでしたが、拓真選手が予想以上にうまく距離を支配して戦っていました。拓真選手は相手のスタイルによって戦い方を変えられる選手。今回の石田選手との試合では、右アッパーの技術により磨きがかかって上手に当てていましたね。 ――1ラウンドに石田選手のジャブがカウンターで入ってダウンを奪われました。 中谷 石田選手はジャブがうまい選手で、本当に良いタイミングで入りましたね。まだ距離間を把握しきれていない早いラウンドではそういうことはよく起こり得ますし、拓真選手も当然、そういう状況も想定していたと思います。足に力が入らなくなるほど効かされた感じはなかったので、立て直してくるだろうな、と思って見ていました。 ■PFP入りは「イメージしていた形とは違っていた」 ――中谷選手は観戦後のインタビューで、「バンタム級世界王者の中では、拓真選手と戦ってみたい」とコメントしていましたね。その真意は?