「頭がいい」とは「頭の回転が速いこと」と考えていたけれど、すぐに出るのは最低の答えばかり…賢明な起業家ほど取り入れている「スローシンキング」とは
人生には誰しもつらい時期がある。だが、「そんな時でも自分の考え方ならいつでも変えることができる。そして、それこそが成功の第一歩だ」と説くのは、自費出版から異例の全米ベストセラー書籍を生み出した、ダリウス・フォルーさん。ダリウスさんは正しいベクトルで考える「思考術」を紹介するなかで、「すぐに答えが出るのは何も考えていないときだ」と言っていて――。 【書影】まっすぐ問題の核に向かう思考術!ダリウス・フォルー『まっすぐ考える 考えた瞬間、最良の答えだけに向かう頭づくり』 * * * * * * * ◆頭がいいとは 以前の私は、頭がいいとは頭の回転が速いことだと考えていた。 「彼は本当に機転が利く。頭がいいんだな」というように。 そして、自分もそういう人になりたくて何年も努力した。 何か問題にぶつかったときや、議論をするとき、誰かから質問をされたときは、いつも「さあ、早く答えを出せ!」と自分にハッパをかけていた。 そして当然ながら、そうやって最初に浮かんだ答えは、どれもこれも最低だった。
◆スローシンカー 起業家で、私の大好きな思想家の1人でもあるデレク・シヴァーズは、ゆっくり考える「スローシンカー」を自称している。 「最初の反応がもっとも正直な反応だとよく言われるが、私はそうは思わない」と彼は言う。 「最初の反応はたいていもう古くなっている。今この瞬間に考える代わりに、ずっと昔に思いついた答えを使い回しているか、あるいはずっと昔の出来事を連想し、ただ反射的に反応しているかのどちらかでしかない」 物事をきちんと考えるのには時間がかかる。 現に私自身も、すぐに答えが出るのは何も考えていないときだ。 考えて出した答えではなく、ただの刺激に対する反応でしかない。
◆最初に浮かんだ思考を信じない デレク・シヴァーズは、最初に浮かんだ思考を信じないように自分を訓練した。それは彼にとって、大量のメールに時間と注意を奪われないようにするための方法でもあるという。 デレクは有名人なので、読者から大量のメールが届く。そのほとんどは「5分で答えられる」内容だ。しかし、彼も言うように、5分で答えられる質問でも、それが100個になれば、1日のうちの500分(およそ8時間)が奪われることになる。 2008年から2016年にかけて19万2000通のメールに返信したデレクは、この状況をどうにかしなければならないと気がついた。彼がまず考えたのは、現代のヘンリー・デイヴィッド・ソローになることだ。 「やるなら徹底的にやるつもりだった」とデレクは言う。 「メールもSNSもすべてシャットアウトする。私に連絡できるのは、一部の親しい友人と同僚だけだ。当時の私にとって、解決策はそれしかなかった」 これがデレク・シヴァーズの「最初の考え」だ。「しかし、そこで私は気がついた」と彼は言う。 「べつにすべてをシャットアウトする必要はないのではないか? メールやメッセージを受け取れる状態のままでいて、ただ質問に答えなければいいだけだ」
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