鋭いスイングで長打量産 慶応、5年ぶりの甲子園 センバツ出場校紹介
慶応(神奈川)は5年ぶり10回目の出場となる。4強入りした昨秋の関東大会では、チームで対策を徹底しながらも試合中に柔軟に修正する対応力が際立った。森林貴彦監督は「狙い球を絞ったり、事前に映像を見たりして、『みんなで相手投手を打とう』という結集力が強い」と語る。「考える野球」を土台としたチーム力で勝ち上がり、夏を含めても5年ぶりとなる甲子園に「KEIO」のユニホームが戻ってくる。
平均得点11.7点、下位まで切れ目なし
昨秋の神奈川大会は地区予選から勝ち上がり、準々決勝で2021年にセンバツを優勝した東海大相模に逆転勝ちするなど快進撃を続けた。決勝では横浜に惜敗したが、勢いを保ったまま臨んだ関東地区大会で県勢唯一の4強入りを果たした。 昨秋の公式戦で目を引いたのがスイングの鋭さだ。2位で突破した激戦の神奈川大会から関東大会まで計12試合を戦い抜き、1試合の平均得点は11.7点。二塁打50本、本塁打15本と長打も量産した。主力は全員が打率3割以上をマークし、打線は下位まで切れ目がなくしぶとい。
クリーンアップを任されている福井直睦(なおとき)、2番打者で主将の大村昊澄(そらと)(いずれも2年)は5割近い打率を誇る。清原勝児(1年)は大阪・PL学園で甲子園通算最多13本塁打を放ち、プロでも西武、巨人、オリックスの計3球団で歴代5位の通算525本塁打を記録した和博さんの次男。関東大会1回戦では勝ち越し2ランを放つなど、父譲りの長打力と勝負強さを秘めている。
「エンジョイ・ベースボール」
投手陣は右腕の二枚看板。小宅雅己(1年)は秋季関東地区大会2回戦で、16被安打も3失点で完投勝利するクレバーさがある。サイドスローの松井喜一(2年)は制球力が持ち味だ。 野球部のモットーはより高いレベルの野球を楽しむ「エンジョイ・ベースボール」。部員は日ごろから1、2時間の自主練習を重ね、それぞれが足りない部分を補ってきた。
夏の選手権は1916年に初出場で初優勝した。センバツは準々決勝に進んだ2005年以来、勝利から遠ざかるが、大村は「日本一に挑戦する」と宣言した。秋に培ったチーム力で、紫紺の優勝旗を目指す。
OBに阪神の山本泰寛ら
1858年に福沢諭吉が開いた蘭学塾(後に慶応義塾と命名)を起源とする私立男子校。戦後に公布された学校教育法に基づき、1948年に「慶応義塾第一高校・第二高校」として設立された。49年に統合され、現在の校名に。今年で開校75年を迎える。俳優の故石原裕次郎さんや歌手の加山雄三さんら各界へ多数の人材を輩出している。生徒数は2200人。 新制高校野球部は48年に創設。「甲子園」出場は旧制中学時代を含めこれまで春9回、夏18回で、春の最高成績は60年と2005年の8強。野球部OBに阪神の山本泰寛選手、ソフトバンクの正木智也選手らがいる。