地元の静岡市を舞台に撮影する映画について紹介する山本監督（右）と学生＝市役所静岡庁舎

　静岡市清水区を主舞台にした映画制作に取り組む葵区出身の映画監督・山本起也京都芸術大教授（58）らがこのほど、市役所静岡庁舎を訪れ、難波喬司市長に作品への思いを語った。「海外の人にとってもロケ地としてアドバンテージがある」と地元の魅力を説いた。 　物語の主人公は、清水港で港湾業務の責任者として働く60代の男性。突然亡くなった内縁の女性の素性を調べることをきっかけに、自分自身の生き方や存在を問い直していく。 　山本さんが県立大関係者からロケ地活用の提案を受け、京都芸術大の学生と企画した。来年1月下旬から約1カ月間かけて撮影し、2026年夏にミニシアター系で公開する予定。 　山本さんは昨年9～12月、県立大で撮影現場の様子や映画館の現状を伝える公開講座を開いた。受講した学生や市民約250人に制作スタッフとしての参加を呼びかけると、20人ほどが撮影場所の選定などに関わってくれているという。 　山本さんは港や富士山などの地域資源を念頭に「静岡は映画コンテンツとして可能性がある」と指摘。スタッフの一人の県立大3年秋本航さん（21）は「作った映画を地域でどうやって活用するのかも考えたい」と意気込んだ。 　難波市長は「芸術家は場の価値が分かるので、映画を通じて発信してほしい」と期待した。