英首相、ノルマンディー上陸作戦の式典を途中退席で謝罪 総選挙のテレビ取材で帰国
【パリ=黒瀬悦成】スナク英首相は7日、仏北部のオマハ・ビーチで6日開かれたノルマンディー上陸作戦80年の記念式典を途中で退席したとして謝罪した。スナク氏は英兵墓地での式典で演説したものの、米仏独の首脳らが出席したオマハ・ビーチでの国際式典を最後まで見届けず、7月4日実施の総選挙に関するテレビ取材を受けるため帰国していたことが判明し、批判が広がっていた。 スナク氏率いる与党の保守党は、最大野党の労働党に支持率で20ポイント前後の大差をつけられて苦戦している。今回の事態が総選挙に向けて保守党へのさらなる逆風となる可能性が指摘されている。 スナク氏はX(旧ツイッター)への投稿で「間違った行動であり謝罪する」としつつ「事態を政治問題化しないことが重要だ」と述べ、他政党などからの批判が高まるのを牽制した。 これに対し、上陸作戦に参加した98歳の退役軍人は英スカイニュースの取材に「スナク氏は英国を貶めた。平和を守るための結束を象徴する行動とはいえない」と一喝した。 スナク氏は総選挙で安全保障を主要争点の一つに位置付け、国防費の増額や18歳を対象とする兵役の部分的復活を公約に掲げているだけに、退役軍人らの苦労を軽視する行為には今後も批判が集まりそうだ。