<ソチ五輪>葛西紀明が銀メダルを獲得した『5つの理由』
ノルディックスキーのジャンプ男子個人ラージヒルで、銀メダルに輝いた41歳の葛西紀明。史上最多の冬季五輪7度目出場にして、初めて個人メダルを手にした“レジェンド”は、なぜ銀メダルの栄冠をつかむことができたのか。 常識を超えた41歳の葛西 勝利への貪欲さ
1つ目の理由としては、ジャンプの技術レベルが高いことだ。葛西の「遠くへ飛ぶための技術」は世界一。ジャンプチームの横川朝治コーチは「葛西は(踏み切りで)踏み外しても、(リカバリーをして)他の選手と同じくらい飛べる自信がある。もちろん、踏み切りのタイミングが合えばダントツでいける。そして、空中の進みも世界で一番速いジャンプ」と解説する。 2つ目は、全体を通して「難しい風が吹いた」という悪条件があった。ジャンプは、風の影響を大きく受ける競技。風によっての運不運はあるが、風が吹くことで技術のある選手と劣る選手とで差がつきやすくもなる。この日の風は、ジャンプ台の右半分と左半分で違う風が吹いており、選手によっては右に流れる者、左に流れる者、軌道にばらつきがあった。 しかし葛西は、2本ともまっすぐな大ジャンプを見せた。横川コーチは「2本ともパーフェクト。ノーミスだった。決勝は、これで良いのかというくらい難しい風だったが、葛西は、条件としては130メートルに届かなくてもおかしくないような状況であれだけ飛んでいった。もう、最高のジャンプだと思う」と称えた。 この日は風の影響で試技がなくなった。けれども葛西は「本当は、試したいことがあったので、試技を飛びたかったけど、風の調子も微妙だと分かっていたので、すぐに頭を切り替えました」と動じることはなかった。 3つ目の理由は、再発した腰痛を逆手に取れたことだ。9日にあったノーマルヒルの決勝で、葛西は、着地の衝撃で持病の腰痛を再発させた。翌日以降は、練習を休んだり、出たりしながら、コンディションの良し悪しをライバル勢に把握させなかった。