京本大我&古川琴音、『言えない秘密』音楽がつないだ2人の絆 ピアノ練習通して関係値築く【インタビュー】
■撮影時は知ることができなかった“2人”の思い「より愛しさが増して…」
――そんな撮影を経て今作で、お互いの役を相手が演じたからこそ豊かな表現ができたと感じる部分はありましたか。 古川:私は試写会で完成作を見て、本当に湊人が京本くんでよかったな、と思いました。演じている時は「雪乃の思いがどこまで届いているんだろう」とちょっと寂しさがあったんです。でも湊人が雪乃の秘密を知ってから、いろいろともがいているのを見て湊人の想いを知ることができました。そのシーン(の撮影)を私は見てないけど、こういう表情で雪乃のことを追いかけてくれていたんだ…愛情深い人だなと感じることができました。 京本:僕も完成作を見て知る部分が半分以上、知らないシーンがあったりした。そういう意味で、雪乃ってそうだったんだ…といろいろなことを知ることができ、見ていて一番グッときたところでした。完成作を見たことで、やっと湊人として完成した感じです。この2人が出会った意味とかも含めて、いろんなことが画で見ることで、より強く実感できた。こっちゃんの作り上げる雪乃の存在感や、お芝居、僕が知らなかったところを見た時に、より愛しさが増して雪乃はすてきだなと、思いました。 ――連弾も含めて湊人と雪乃の関係を構築するためには信頼を築くことが大切だと思うのですが、2人だからこそできたと思うシーンはありますか。 古川:やっぱり最後のシーン。全部が積み重ねだなって今話して思い出しました。決定的に、ここで変わったとかいうものはなく、いろいろな経験を2人でしてきたから、最後にあのシーンが撮れたのかなと思います。 京本:クライマックスは撮影が後だったので、しっかり湊人として関係性を築き上げたうえでクライマックスに挑めました。自分の感情の引き出しを持ってくるのではなく湊人として、ちゃんと雪乃に言葉をかけられたり感情があふれたり。雪乃のおかげで感情を引き出してもらった感じはありました。 ――お互いのお芝居や現場でのたたずまいなど『すごいな』と思った瞬間があったら教えていただきたいです。 古川:私は、やっぱり体からにじみ出るメッセージがすごくいいと思います。映像を見てすごく思ったことなんですけど、雪乃を追いかける時のスピードや姿勢に湊人の気持ちが現れていて、私は京本くんの体の使い方とても良いと感じました。 京本:初めて言われました。 古川:ピアノを弾いている時も、音を聞いているからだと思うんですよね。ピアノを習いたての人が弾く振りをして技術だけを追おうとすると、音と体の動きは切り離されたり、心と体がバラバラになったりすることがあると思うんです。でも京本くんはそこが一体化しているので、やっぱり体が使える方なのだな、と思いました。 ――京本さん自身は、なぜだと思いますか。 京本:自分のルーツとしてミュージカルもあったりするのかもしれないですけど…本当初めて言われたのでちょっとお芝居続けてみようかな。前向きに頑張ろうかな(笑)。 古川:絶対あると思う。 京本:(古川は)本当にすべてがすばらしく、お芝居を引っ張っていただいた感覚は強くあるのですが、序盤の方で言うと、やっぱり湊人が自然と目で追いたくなり、自然と探したくなる“雪乃感”でした。儚(はかな)さもありながら美しくノスタルジックな雰囲気の化身のよう。唯一無二のヒロイン。湊人として作り込まなくても追いかけたくなっちゃうような雪乃像を完璧に構築されていたので、そこがやっぱ圧倒されましたね。 ――主題歌の印象はいかがでしたか。 古川:試写会のエンドロールで初めて主題歌を聞いてまた泣いてしまいました。この映画をぎゅっと凝縮したような歌だったので本当に切なく、愛にあふれていて、本当にすてきな曲だなと思いました。 京本:撮影後の11月にレコーディングしていたので、唯一メンバーの中では映画の内容をわかっているし、雪乃を思い浮かべながら歌えた部分もありました。試写では、作品に夢中でエンディングが来ることを一瞬忘れていて、僕もボロボロ泣いていたところで主題歌が流れてきて不意をつかれました。この曲も込みでこの作品なのだなと、この作品のために書かれた歌詞だからこそ刺さるワードもたくさんあった。すごく真っすぐだし、シンプルな言葉もたくさん入っていますが、この作品をすごく表している気がします。これから曲を聞いて映画を思い出してもらって、いろいろな相乗効果で曲と作品が常に対で、良い関係にあってくれたらいいな。 ――レコーディングの時にメンバーに映画について説明はされましたか。 京本:どちらかというとMVですね。(森本)慎太郎が『きょもの映画ってどんな感じなの』と聞いてくれて全部言いました(笑)。『言っちゃうよ』『オッケーオッケー。じゃあそれを感じてMVとるわ』って。 古川:でもちゃんと感じてくれたんだ(笑)。 ――この作品を経て、京本さんの中で、音楽との関わりがまた変わったとか音楽に向かう気持ちの変化はありましたか。ピアノもたくさん向き合い、いわば新しい武器を1つ身につけたような感じでしょうか。 京本:やっぱり音楽好きとして、音にまつわる作品っていうのはずっと出演してみたいという思いが強くあったので、20代ラストで音楽に関係する作品で、しかもこんなにすてきなラブストーリー…というのは本当に光栄だなと思います。去年、一昨年と映像作品を経験させてもらってきた中で、1つ自分をぶつけられた作品でもあった気がしていて。なのでこの作品が皆さんに届いてから、自分でもいろいろ実感することや発見が増えてくるのかな。でも試写の段階ですでに、作品に出会えたことと、スタッフさん、キャストを含め、みなさんがすてきに仕上げてくださったことに本当感謝しています。