「いつ死ぬか分からんし!」といって、「最短」で年金を受給しようとする父。繰上げを選択する人はどれだけいるのでしょうか?
年金の繰上げ受給のデメリット
年金の繰上げ請求を一度すると、取り消しや修正は行えません。それ以外にも注意点がいくつかあります。ここでは、年金の繰上げ受給のデメリットをまとめます。 ◆一定の減額率が続いてしまう 年金の繰上げ受給を選択すると、本来受け取れるはずの年金から減額されます。受給開始のタイミングにより減額率は異なりますが、この減額率が一生涯適用されてしまう点には注意が必要です。亡くなる年齢によっては、受け取れる年金の総額が減ってしまいかねません。 ◆障害年金を受け取れなくなる 繰上げ受給をしたあとに障害状態になったとしても、原則、障害年金は受け取れません。 障害年金は、老齢年金の支給開始前、つまり65歳以前に障害を負ってしまった人(その原因となる病気などの初診日が65歳未満の人)に対する社会保障制度です。年金の繰上げ受給をすると65歳に達したとみなされるため、事後請求ができなくなります。 ◆国民年金への任意加入や保険料の追納ができない 年金の繰上げ請求後には、国民年金に任意加入ができず、追納もできなくなります。年金受給額を増やせる手段がなくなってしまう点にも注意しつつ、繰上げ受給をするかどうかを決めなければいけません。
老後のことを考慮したうえで繰上げ受給を決断しよう
年金の繰上げ受給を選択する人は、厚生年金では1%以下、国民年金では30%弱でした。ただ、厚生年金の繰上げ受給率が増加傾向にあるのに対して、国民年金の繰上げ受給率は減少傾向にあります。 年金の繰上げ受給は早くに年金が受け取れる一方で、毎月の受給額は本来よりも減ってしまう点はデメリットでしょう。メリットとデメリットを丁寧に比較したうえで、繰上げ受給を選択するかどうかを判断しなければいけません。 出典 厚生労働省年金局 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー 監修:高橋庸夫 ファイナンシャル・プランナー
ファイナンシャルフィールド編集部