実は世界一の紅茶好き!? 北ドイツの小さな町「レーア」でユニークな“茶法”を学ぶ
伝統のおもてなし、ティータイムに欠かせないのが氷砂糖とクリーム。まずティーカップに氷砂糖を入れてから、アッサムがベースの濃い紅茶を注ぎ入れ、最後にクリームをそっと加えるのがお作法。そして、紅茶を注いだ後に氷砂糖が立てるパチパチという音を聞く。なんてことのないこの音、実は非常に重要で、紅茶が飲みごろになった合図なのだ。次に、小さなスプーンでカップの上にクリームをそっと浮かべ、それがカップのなかで雲のように広がるようすを見て楽しむ。 ひと口目は濃厚なクリームの味を楽しみ、ふた口目からは濃い紅茶の味を堪能。最後のひと口は、氷砂糖の甘い香りとともに味わい尽くす。この3つの段階を踏むため、決してスプーンでかき混ぜてはいけない。地元の人は一度に少なくとも3杯は飲み、3つの味を繰り返し堪能する。空のカップの上にスプーンが置かれるまで、もてなし側はお茶を注ぎ続けるのがマナー。この方法で飲んでみたところ、3段階の味の変化がとても楽しい。時間をかけていただくから、ゆったりリラックスもでき、とても幸せな気持ちになってくる。
自宅で挑戦するなら、水1リットルに対して、手に入りやすいアッサムの茶葉を10g入れるのがオススメ。ポットに半量の熱湯を注ぎ、3分ほど蒸らしてから残りの湯を注ぐ。氷砂糖がゆっくり溶け出すように、砂糖に当てないように注ぐのがポイントだ。クリーム(脂肪分30%のものが理想)は、反時計回りに注ぐ。「時間を止める」という意味が込められているので、くれぐれも割愛はしないこと。 ティーセレモニーは、東フリースラント地方の人々にとって特別な時間。お茶の作法には日本の「茶道」、中国の「茶芸」などがあるが、レーアでもお茶を通じて、人びとは絆を深め合っててきた。濃い紅茶、氷砂糖、クリームの3つがそろった紅茶を、ホストとゲストが共有することが、この地域の伝統文化なのだ。 協力:ドイツ観光局 Text:鈴木博美