東京Vユースがプレミア参入PO進出決定 強さの秘密は「教えすぎないこと」
9月29日、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2024 関東1部第14節2試合が行われ、桐蔭学園高校と東京ヴェルディユースが対戦。試合は前半39分、東京Vユース サイドバックのDF6渡邊大貴がゴールし先制すると、直後の40分、セットプレーからDF4川口和也が頭で決め、追加点を挙げた。 【フォトギャラリー】桐蔭学園 vs 東京ヴェルディユース 後半、東京Vユースは桐蔭学園の攻勢にあいながらも素早いプレスと人数をかけた守備で耐え抜いて、2-0で勝利。勝点を「40」に伸ばした。これにより東京Vユースは上位3チームが進む高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 プレーオフ進出を決めた。 「首位である自信。なにより、したたかだった」と称えた桐蔭学園・八城修監督。 試合の主導権を握る桐蔭学園は、東京Vユースに対し、前を向かせない守備からロングボールを起点に主にサイドから崩し、チャンスを作った。やはり痛かったのは前半39、40分の立て続けの失点。ゲームプランが崩れた。 「立て続けに失点してしまうのは弱いチームの典型。(1失点で)踏みとどまれば、また違う展開にはなったはず」と八城監督。試合後、ゲームを回想していたのだろう、悔しさをかみしめた表情がしばらく続いた。 一方、勝った東京Vユースは14戦負けなし(13勝1分)。藪田光教監督は「評価は他人がするので、なかなかわかりませんが」と我関せずだが「選手はもっともっと伸びます。チームとして、完成ではなく、もっともっと上に行けます。いまはひとつひとつ積み上げるだけです」と期待は大きい。 東京VユースといえばOB選手を見ればわかるように技巧派集団。当然、みな足元はうまい。しかし今年はうまさだけではない。うまくて強いチームに進化している。 「(試合に向け)必ず我慢する時間、先に失点するケースは必ずあると想定していました。そこを我慢できれば、自分たちの時間になります。それが短いのか、長いのか、試合によりますが、そこでの質はかなり自信を持ってやれています。1回のチャンスで決める、2回のチャンスで2点取ることにこだわりをもっています。勝負に徹したところは今回たまたまよかったと思います」と藪田監督。 強さは身体を張った守備の強さ、焦れない我慢強さ、当たり負けしないフィジカルの強さ、2分で2得点挙げた勝負強さ。この強さはどのように植え付けているのか。そのヒントを指揮官は「教えすぎないこと」と語った。 「いまの選手たちは教わりすぎているので、教えないようにしています。チームにはある程度、規律はあります。そのなか、サッカーは単純ですが、勝つために何をしたらいいのか、自分たちで考える。勝つためにどうすればいいのか、選手たちはほとんど判断してやっています。東京Vの強さは読みづらさ。たとえ相手に研究されても、読まれづらいところにあります(藪田監督)」 全容はつかみきれないが選手が自主的に考えていること。その考えがイレブンで共有されていることは読み取れる。ただ、ここで満足していない。藪田監督は読売Jrユース、読売日本SCユース、ヴェルディ川崎と生粋のヴェルディ育ち。在籍時は優勝して当たり前の時代にプレーしてきた選手。だからこそ今度は監督として、選手たちにタイトルを取ることの意味、そのメンタリティーを植え付ける真っ最中だ。 16年ぶりにJ1復帰のトップチームは現在、リーグで勝点「48」で暫定6位と下馬評を覆しての躍進。そして東京Vユースは2014年以来のプレミアリーグ参入に向け、その歩みをさらに進める。 (文・写真=佐藤亮太)