NISA口座、使ってないの? その残念過ぎる理由。
「NISAはコツコツ積み立てて資産形成する手段」と思っている人もいるでしょう。今回は、勘違いしていた知人の、とても残念な成功談からNISAの使い方をひも解きます。
値上がり益・配当・株主優待に大満足
先日久しぶりに会ったAさんが、ご自分の投資談について話してくれました。 コロナで株価が暴落した時期に、ご主人が勤めていた会社の株式を購入したそうです。株式投資は初めての経験です。周りから投資の話を聞いて興味は持っていたものの、第一歩を踏み出すには勇気がいります。いつかは始めたいと思っていた矢先、コロナの影響で株価が急落しました。 株式投資を始めるチャンスとみたAさん、いよいよデビューを果たしました。銘柄は、(1)自分の考える投資予算と一致した、(2)よく知っている企業という理由で選んだそうです。 日経平均株価はコロナ禍で急落後、比較的短期間で回復し、その後も上下動しながら上昇しています。日経平均で動きをたどると、2020年3月の急落時には1万6552円でしたが、2023年12月1日時点で3万3537円です。 Aさんいわく「購入時の2倍になった」とのことで、「こんなことなら、もっと買っておくべくだった」と。もちろん銘柄によって値上がりの幅に差異はありますが、“安く買って高く売る”のが王道です。良い時期に買った成功例だと思います。 Aさんの話は続きます。「おまけに配当も良い」「その上、株主優待もあって楽しみにしている」と、初めての投資が満足のいくもので、“始めて良かった”感が否めません。株式投資の場合、その投資目的として、値上がり益・配当・株主優待があります。当初、配当や株主優待は期待していなかったAさんですが、配当や株主優待の魅力を知ったので、この株式は長期の保有になりそうです。
痛恨の誤解
ここまで満面の笑みで話していたAさんですが、その後痛恨のミスが発覚しました。Aさんは、NISA口座ではなく課税口座で取引していたのです。 「来年からは新NISAも始まるので、楽しみだね」と筆者が言うと、けげんな表情です。「NISA口座ではないの?」の問いにAさんは「NISAは積立でしょう?」との回答。どうも、つみたてNISA以外に「一般NISA」があることを知らなかったようです。 もし100万円で購入した株式が200万円に値上がりしても、売却益には税金が掛かります。(200-100)×約20%=約20万円 つまり差し引きすると、資金は180万円弱に目減りしてしまうのです。もしNISA口座で取引していたら、200万円が手元に残ります。 この非課税効果は、売却益だけでなく配当にも関わってきます。Aさんが「配当も良いの」と喜んでいた配当も課税されていたはずです。これらが非課税になることこそが、NISA制度の優れた点です。使わないなんて、もったいないです。 (図表)