錆びた「10円玉」をキレイにしたい! でも磨くと「違法」になる場合もあるって本当? 理由を解説
紙幣や硬貨などに魅力を感じる人は多く、なかには、手持ちのさびた硬貨をキレイに磨きたいと考える人もいるでしょう。一方で、硬貨を磨くと違法になると主張する人もいます。違法性を主張している人が根拠としているのは「貨幣損傷等取締法」です。 今回は、この法律を参考にしながら、さびた10円玉をキレイに磨く行為に違法性があるのかについて考えてみます。
貨幣損傷等取締法を確認しよう
日本には、「貨幣損傷等取締法」があります。貨幣とは、10円玉や100円玉などの硬貨全般を指しており、貨幣損傷等取締法は日本の硬貨を保護するための法律といえます。 貨幣損傷等取締法には、「貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない」とあります。「鋳(い)つぶす」とは、金属を溶かして別の形にすることを指す表現です。つまり、この法律では硬貨に傷をつけたり溶かしたりする行為を禁止しています。 また、同法律には「貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶす目的で集めてはならない」との記載がある点も押さえておかなければいけません。 これらに違反した場合には、1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処されます。硬貨の金額などには言及していないので、10円玉は金額としての価値が低いから罪が軽くなるということはありません。
キレイにするだけなら違法になる可能性は低い
問題は、さびた10円玉をキレイにする目的で磨くと、貨幣損傷等取締法違反となるのかについてです。同法律は、傷をつけたり鋳つぶしたりして、あらかじめ定められた価値以上のものへと変造することを禁止する目的があるとみられます。 そのため、キレイにしたいという目的でさびた10円玉を磨くだけでは、違法にならない可能性が高いでしょう。研磨してさびを取り除くだけであれば、10円玉としての価値が特に変わることはないためです。 ただし、磨きすぎには注意しなければいけません。磨く行為は溶かす行為と異なり、10円玉の形そのものを変えてしまう可能性は低いといえます。それでも、表面の数字や文字、絵柄が薄れたり消えたりするほどに磨くと、損傷や変造と捉えられかねません。 特に、縁の部分を硬いヤスリなどで磨くと、10円玉の形が変わってしまう可能性があります。そこまで手を加えると「キレイにしたい」という目的を逸脱してしまうため、違法となるリスクも高まるでしょう。