『夏目友人帳』『化け猫あんずちゃん』『ラーメン赤猫』 “猫”が2024年夏のアニメを席巻
猫たちが“日本の夏”を思い起こさせる理由とは?
アニメにおける猫たちの魅力は、その自由奔放さだけにとどまらない。彼らは、私たちの心に深く刻まれた夏のノスタルジックな風景とも不思議とマッチするのだ。 「子どもの頃の夏」という言葉から連想されるような、のどかな田舎で無邪気に過ごす情景。そんな風景に、猫の姿がすっと溶け込んでいく様子は、どこか懐かしさを感じさせられる(田舎に祖父や祖母がいたわけではない筆者ですら、不思議とそう思わせられるほどに)。風鈴の鳴る縁側で丸くなる猫と、たそがれる人間。あくまで刷り込みのようなイメージではあるものの、やはりそうした画作りの意味でも猫の存在感は大きい。『夏目友人帳』は特に、少し切ない気持ちになるようなストーリーに加え、こうした夏の心象風景を強く思い起こさせる作品でもある。 最後に、これらの作品に共通するのは、猫を通して描かれる「つながり」の大切さだ。猫たちは、人と人とのつながりを自然な形で媒介し、物語に温かみをもたらしている。ひと夏ならではの家族との絆、新しい友達との出会い、見知らぬ土地での心温まる交流。それぞれの物語で猫たちがそれらを優しく包み込む。猫の存在は、人々の心の距離を縮め、新たな関係性を築くきっかけとなるのだ。 猫たちは、現実世界からアニメの中まで、私たちの生活のあらゆる場面に息づいている。その魅力に取り憑かれた人々が増え続ける中、「猫の時代」は今後も続いていくのだろうか。
すなくじら