年齢でみる選挙 国会議員に定年ってないの?【#みんなのギモン】
■前回の衆院選 立候補者 20代、30代少なく
前回2021年の衆院選(小選挙区)では、一般的に後期高齢者と言われる75歳以上の立候補者が23人いて、そのうち12人が当選しました。政党別に立候補者の年代を見ると、いずれの政党も50代から70代が大半を占め、20代、30代が少ないことがわかります。
■20代・30代の若い議員 先進国で最も低い割合
日本の国会議員の年齢は諸外国と比較するとどうなのでしょうか。 各国の国会に関するデータを調査・公表しているIPU(Inter-Parliamentary Union)のデータを見ると、日本は若い議員が少なく、閣僚の年齢が高いということがわかります。 日本では、40歳以下の国会議員の比率が6%で、30歳以下になると0.2%と著しく低く、いずれも、国際機関OECD(経済協力開発機構)に加盟する先進国37か国のなかで最も低い数値になっています。(加盟国38か国のうちデータがない韓国を除く)
また、2022年時点の日本の閣僚の平均年齢は64歳とOECD加盟国のなかで最も高く、最も若いデンマークの46歳と比べると20歳近い差があります。
■当事者世代が入ることで政策の議論活発に
選挙制度に詳しい、日本大学の安野修右専任講師は、国会議員としての資質があるかどうかは、年齢も含めて選挙で選ぶことができるため、法律で定める必要はないのではないかと話します。 その上で、高齢の議員が選ばれている理由についてはー 日本大学法学部・安野専任講師 「高齢の政治家が多い背景には、地盤のような、個人的な資質以外にそもそも獲得している資質が評価されることが多く、年功序列的な考え方もあるのではないかと思います」 また、早稲田大学の日野愛郎教授はー 早稲田大学政治経済学術院・日野教授 「日本では、入閣の基準のひとつとして当選回数が参照される傾向にあります。他国に比較してキャリアパスが長く、このことが閣僚の平均年齢を引き上げている背景にあると考えられます」 一方、日野教授は、長く続けることで政治家として経験がプラスに働く反面、他分野の視点が反映されにくくなっていく面もあると指摘します。そういったことなどからも、日本大学の安野専任講師は、様々な世代・立場の議員たちが意見を出し合っていくことが重要だと話します。 日本大学法学部・安野専任講師 「議会では様々な分野のことが議論され決められていきます。政策を訴えるときに、実態はどうなのかといったことなど、直接の利害関係がある世代・立場の人が訴えていくほうが説得力がある場合もあります。年代や立場を超えた多様な意見を反映させ、活発に議論していくことが大事だと思います」 経験豊富なベテラン議員と、当事者意識を持った様々な世代の議員。どちらも私たちが選挙で選ぶことができますが、そのバランスが必要なのかもしれません。
「投票できる年齢と立候補できる年齢」についても取材しています ▶ 年齢でみる選挙 投票と立候補の年齢ルールなぜ違う? (https://news.ntv.co.jp/category/politics/25816342108e422bb3c6bd14634eb71c) ◇ 【みんなのギモン】 身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)