AIブームの追い風続くAMD、エヌビディア以上に株価反転のリスク
(ブルームバーグ): 米半導体メーカー、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は人工知能(AI)ブームの波に乗り、エヌビディアに劣らぬ快走を見せている。だが、値上がりを支える要因はそれほど確かではなさそうだ。
AMDがAIからどこまで恩恵を受けるのかを巡って過度な楽観論に傾いているもようで、足元の上昇基調が崩れる恐れがある。AIチップで業界のゴールド・スタンダードと見なされているエヌビディアよりも成長ペースが鈍いと予想されているだけでなく、バリュエーションもはるかに割高なためだ。
グレート・ヒル・キャピタルの会長でマネジングメンバーであるトーマス・ヘイズ氏は、AMDのフリーキャッシュフロー減少や割高感の強まりに言及。「短期的には完璧を見込んだ株価水準であり、現在のバリュエーションで長期的な見通しに賭ける気にはなれない」とし、「これは常に株価反転の方程式だ」と述べた。
ほぼあらゆるAI関連銘柄に買いが入る中、ナスダック100指数が安値をつけた昨年10月26日以降、AMD株価は116%値上がり。この間の上昇率はエヌビディアが128%、ナスダック100指数が29%となっている。
AMDの予想株価収益率(PER)は51倍で、フィラデルフィア半導体株指数で3番目に割高な構成銘柄だ。37倍のエヌビディアをはるかに上回っているほか、ここ1年に1200%余り急騰したスーパー・マイクロ・コンピューターの42倍よりも割高となっている。
一方、AMDの収益見通しは切り下がっている。ブルームバーグがまとめたデータによると、AMDの2024年純利益に関するアナリストのコンセンサス予想はここ半年で16%、売上高予想は6.2%いずれも引き下げられた。
AMDのコンセンサスレーティング(買い、ホールド、売りの投資評価の比率を示す指標)は、エヌビディアを下回っている。また株価は足元で、平均目標株価を約3%上回る水準で取引されていることから、アナリストは上値余地が乏しいとみていることを示唆している。