「三大香木」をいえますか? 夏のクチナシ、秋のキンモクセイ、では春は?
『趣味の園芸』2024年1月号の特集内「春を運ぶ香り ジンチョウゲの仲間たち」では、三大香木の一つであるジンチョウゲを楽しむコツを、倉重祐二さんに教えていただきました。誌面では語りきれなかったジンチョウゲへの思いや、新潟の地で長く過ごしてきた倉重さんだからこそ感じる植物の魅力について、前編・後編にわたって「こぼれ話」をお届けします。 みんなのジンチョウゲの写真 ――今回「早春を告げる花」の一つとして紹介いただいたジンチョウゲは、倉重さんにとってはどんな植物なのでしょうか。 じつは、さみしく思っているんです。ジンチョウゲはかつてよりマイナーな植物になってしまったな、と。昔はもっと庭に植わっていました。誌面でも紹介したとおり、春のジンチョウゲ、夏のクチナシ、秋のキンモクセイが「三大香木」といわれますが、クチナシはまだちょくちょく見ますよね。もちろんキンモクセイも。ジンチョウゲは香りのよい早春の花の代表格なのに、植栽に使われる機会が減っている気がします。
――ジンチョウゲがあまり使われなくなった要因はどういったところにあるのでしょうか。 流行の移り変わりが早くなったこともあると思いますが、株の寿命が短いことも要因なのですかね。シンボルツリーの選択肢には入ってきづらいですし。でも短いといっても20年程度はもちますし、さし木で更新していけますから、充分楽しめるのでは、という気もします。 さらに近年は'前島'のように、斑入りがきれいな品種がつくられるようになってきて、花の時期以外でも観賞価値が高いジンチョウゲが出回っているんですよ。これからまた、はやっていってほしいです。庭より、鉢植えで楽しみやすいかもしれないですね。成長もゆっくりで、育てやすい植物です。
――植物を育てる際に「斑入り」というのはやはり大きな魅力ですか。 長く新潟にいて実感したんですが、北国は冬、関東に比べて暗いんですよ。11月から3月上旬ごろまで、体感としては晴れている日がほとんどなくて。いつも雪か雨が降っている。そのなかで葉が緑一色だと、部屋や庭がどうも明るくならないんですよね。斑入りだと、家の雰囲気がぐっと明るくなります。新潟暮らしが長かったので、斑入りの魅力を人一倍実感できているかもしれません。 いまも、コーヒーノキ、フランスゴムノキ、ショウナンゴムノキなど、斑入りのものが自宅にありますよ。LEDライトでよく育ちますね。