母親は「月8万円」程度しか年金をもらえないようです。仕送りはできませんが、自分の扶養に入れてあげることで助けになりますか?
遠く離れた故郷で暮らす親の心配をしている人は、多くいます。親の健康状態だけではなく、少ない年金で暮らしている経済事情を不安に思うこともあるでしょう。今回は、「余裕がなくて親へ仕送りなどはできないが、何とか生活を楽にできないか」という相談を記事にしてみました。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
遠く離れた母親を何とかしたい
今回取り上げる相談者のAさんは、大学卒業してから故郷を離れて就職し、結婚をしていました。現在は、自分の子どもも大学生となり、教育ローンを借りながら、生活を送っています。 また、3年前に父親を亡くし、故郷では68歳の母親が1人で年金生活を送っています。母親の年金受給額は月に8万円程度で、相談者もたまに連絡をしたり帰省したりしたときに「生活が苦しい」と愚痴を聞くことが増えてきていました。 Aさん自身も「仕送りができれば」と思っていましたが、今の生活を維持するのがやっとでした。というのも、Aさんは住宅ローンに加え、離れて暮らす子どもへの仕送りもしなければならず、負担が大きくなっていたのです。 Aさんの家族構成は、妻と大学生と高校生2人からなる5人家族です。まだ住宅ローンが12年残っているのに加え、長子が家から離れた大学に入学したことで、自宅以外の家賃や生活費の負担も強いられ、Aさんは精神的にも弱っている感じでした。それで、「何か策はないか」と筆者に連絡してきたのです。
会社員の主婦だった人は年金が少ないケースも
ここで、厚生労働省が公表している「令和4年度 厚生年金・国民年金事業の概況」を見てみましょう。令和4年度の国民年金受給者のうち、遺族年金を受給している場合の平均年金月額は、8万4352円と、相談者の母親が受け取っている額に近くなっています。 また、現在の国民年金の受給者は、全員が加入していたというわけではありません。一定の年齢以上の女性で、専業主婦をしていた方の場合は、希望すれば入れる「任意加入」の期間があったケースもあります。 昭和36年まで、会社員の妻など一定の被扶養配偶者は、任意で国民年金に加入できたからです。その後、昭和61年に現在の「第3号被保険者」という制度ができ、男女問わず、国民年金に加入することが決まりました。 Aさんの母親は、この任意加入できるときに、任意加入していなかったことで、自分の老齢基礎年金と遺族厚生年金で、合わせて8万円程度となっていました。 また、Aさんの母親には、現在年金以外の収入はありません。彼女自身はまだ68歳であり、仮に居住地が都会であれば働き先も見つかったかもしれません。しかしAさんによれば、「のどかな田園が広がる田舎で、運転免許証を持っていない母親が働きに出るのは大変」ということでした。