衆院選小選挙区「3位でも当選」「3人全員当選」 重複立候補→比例復活に今回も疑問の声
27日投開票された衆院選では、小選挙区で落選した候補者が比例代表に重複立候補していて復活当選する姿が各地でみられた。過去の衆院選でもあった光景だが、今回は自民党派閥パーティー収入の不記載議員が重複立候補できず、大物議員が早々と落選していく姿に、SNS上では「これが小選挙区制の本来の姿では」との指摘も出ている。 【写真】「もっと下に…下に」“半ケツ”状態でビラ配りをするボランティア女性 「ひとえに私の力不足。申し訳ありませんでした」 東京15区に立候補した自民新人の大空幸星(こうき)氏(25)は28日午前0時半すぎ、東京都江東区の選挙事務所でこう敗戦の弁を述べた。 しかし、大空氏はこの約1時間後に比例東京ブロックで復活当選。同選挙区の2位は元参院議員の須藤元気氏(46)だったが、無所属のため重複立候補はなく、大空氏は2位の須藤氏が落選する中、3位ながら「敗者復活」を果たした。 大阪5区では、3位だったれいわ前職の大石晃子氏(47)が比例復活し、2位だった公明前職は重複立候補していなかったため落選。愛知10区では、立民新人が当選後、小選挙区で落選した自民新人と維新前職が相次ぎ比例復活し、立候補した3人全員が当選する事態となった。 比例代表をめぐっては、躍進した国民民主党が比例北関東、東海両ブロックで獲得議席が候補者数を上回る「名簿不足」となり、他党に計3議席を譲る事態も起きている。 衆院の選挙制度は、小選挙区で落選候補に投じられた票は「死票」となることから、民意をより反映させるため比例代表との「並立制」となった経緯がある。一方で、重複立候補を認めるかどうかは公認権を握る各政党の判断に委ねられ、対応は政党によっても異なる。 比例復活した候補の「正統性」に有権者が疑問を抱く状況は、現行制度が導入された平成8(1996)年の衆院選から続いており、SNS上では「有権者の信任を得られなかった落選候補がゾンビのように復活するのは、やはりおかしい」との声は絶えない。