派閥裏金問題で大荒れの自民党 “泥船”岸田政権の次を担う「ポスト岸田」は誰?
派閥の裏金問題で支持率が政権維持困難とされる20%前半まで落ち込んだ岸田内閣…。大荒れの自民党で「我こそは」と言うリーダーが居ないのはなぜか。そして“ポスト岸田”と言われる人物たちの現状は?
■支持率24%、政権維持は黄色信号
66%という高い内閣支持率だった発足当初が想像できないほどの事態となっている昨今。2023年11月の世論調査では、相次ぐ政務三役の辞任に加え、所得税などの定額減税が「選挙対策にみえる」などと不評を買い、内閣支持率はついに24%と発足以来最低を更新した。 さらにその後、自民党最大派閥“安倍派”の裏金問題が明るみに出て岸田首相の自民党総裁としての責任が問われる事態となっている。大荒れの自民党では、2024年9月に自民党総裁選が予定されている。岸田首相は裏金問題を受け安倍派の閣僚を一掃する人事を行ったが、岸田首相に近い議員も「安倍派の応援がなければ総裁選には勝てない」と釘を刺す。
■「我こそは」と言えないリーダーなき自民党
ではポスト岸田となりうる自民党議員は誰なのか。裏金問題のあまりの大きさに様子をうかがう議員が多いのが実情だ。 首相候補として名前が挙がるある議員は「誰が白で、誰が黒か、分からないうちは何も動き出せない」と周囲に吐露する。「我こそは自民党を立て直す」という議員が見当たらないのだ。過去の自民党であれば起こっていたであろう『岸田おろし』の動きが出てこない。 その理由は裏金問題の影響が未知数で捜査の着地点が見えないということもあるが、総裁選までまだ9か月ほどあること、衆議院議員の任期がまだ1年以上残っているという点も大きい。議員たちの危機意識が高まらず、『岸田おろし』が起こらないのだ。 では“ポスト岸田”の面々の現状はどうなっているのか。“将来の首相候補”と言われる議員は複数いるが、中でも“ポスト岸田”として名前が挙がる茂木幹事長、河野デジタル相、石破元幹事長、上川外相、加藤元官房長官、の5人について分析する。
■進む道を決めきれない茂木幹事長
自民党の幹事長を務める茂木敏充氏。当選10回を誇る政策通で、党の政調会長のほか、経済産業大臣や外務大臣など重要ポストを歴任してきた。現在は党運営や資金面で絶大な権限を握る“幹事長”をつとめ、党内第3派閥“茂木派”の会長でもある。 将来、首相を目指す姿勢を常ににじませる茂木氏は、麻生副総裁とも良好な関係を築いている。一方で党内からはポスト岸田に同じ派閥の加藤元官房長官を推す声もあり、必ずしも足下が安定しているとは言い切れない。 さらに裏金問題について、茂木派ではほとんど問題がなかったため「茂木幹事長はどこか他人事だ」という批判まじりの声も聞こえる。また、本来、幹事長は首相を支えるポジションであるにもかかわらず、首相よりも先に政治資金規正法の改正について発信するなど、幹事長としての役割を超えていると指摘される行動も多い。 茂木氏がポスト岸田に名乗りをあげるためには、岸田首相を支え続け禅譲を狙うのか、どこかで別の路線に進むのか決断が必要になる。