中国の消費者物価、辛うじてプラス-米との違い鮮明、元安圧力も
(ブルームバーグ): 中国の消費者物価は3月に辛うじて前年同月比プラスを維持する一方、生産者物価の下落は続いた。デフレ圧力が引き続き中国経済の回復にとって主な脅威であることが浮き彫りとなっている。
国家統計局が11日発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.1%上昇。ブルームバーグ集計のエコノミスト予想中央値は0.4%上昇だった。春節(旧正月)連休があった2月は0.7%上昇と、半年ぶりのプラスとなっていた。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは3月に0.6%上昇と、2月の1.2%上昇から伸びが鈍化した。
3月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比2.8%低下と、18カ月連続のマイナス。予想中央値も2.8%低下だった。
中国政府は2024年の国内総生産(GDP)成長率目標を5%前後に設定。物価は伸び悩んでおり、国内消費からの寄与はそれほど期待できない可能性もあり、輸出頼みの色はその分濃くなる。また、中国とは異なり、米国のインフレ率はなお高く、両国の金利差が根強く残り、人民元に対する下落圧力が強まるリスクもある。
米コアCPI、3カ月連続で上振れ-米利下げ後ずれの可能性
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の大中華圏担当チーフエコノミスト、楊宇霆氏は「今回の物価指標は明らかに内需の弱さを反映している」と指摘。「最近のモメンタム改善は輸出主導になっている」と話す。
インフレ率に勢いがなく、中国当局には追加の景気支援策に向けた圧力が強まる可能性がある。物価下落は企業の利益を圧迫し、投資意欲を減退させる。また、消費者は将来的に商品が安くなることを期待し、支出への消極姿勢がさらに強まる恐れもある。
ジョーンズ・ラング・ラサールの大中華圏担当チーフエコノミスト、龐溟氏は「緩和的な金融政策が続くだろう」としながらも、米インフレ率の上振れで利下げが先送りされる可能性があるため、中国側としては一段の元安懸念から自国の金利を引き下げにくくなるとの見方を示した。