年々増える出産費用に「産まなくてもいいかな」の声も 産科クリニックで続く値上げの背景と見えてきた“負の連鎖”のおそれ #令和のカネ
子どもを産んだ時に支給される「出産育児一時金」が42万円から50万円に引き上げられて、1年が経った。都内では50万円でも「まだ足りない」という声があり、子どもを産む上で出産費用が”一歩目の負担”となっているようだ。一方、産科クリニックでは値上げせざるを得ない背景も。出生数が過去最少を更新し続ける中、安心して産める環境のためには何が必要なのだろうか。 (担当:TBS報道局社会部 池田留輝愛)
出産費用は年々上昇 一時金値上げも「いたちごっこ」「産まなくてもいいかな」の声も
都内の子育て広場(NPO法人子育てひろばかぁかのおうち)に集まる0~2歳の子の親からは「出産費用が負担」という声が相次いだ。 1歳児の母(30代) 「(一時金を引いた出産費用の)持ち出しが10万円くらいで、(出生前検査代なども含めて)こんなにかかるんだというのはあった。できれば兄弟は作ってあげたいと思うが、これから保育園や学校、色々お金もかかってしまうと考えると、一時金をもらっても厳しい。一時金も値上がってはいるが、その分出産費用もどんどん上がっていて、『いたちごっこ』なのかなと思う」 出産費用は原則、「自由診療」でそれぞれの医療機関が価格を決めている。2022年度は全国平均で48.2万円で10年間で6.5万円増加し、年々増え続けている。これを受けて、出産育児一時金は、2023年4月に42万円から50万円に引き上げられたが、それに伴い医療機関側も出産費用を値上げする”便乗値上げ”が起きていると指摘された。
出産費用の値上げを目の当たりにしたという人も。 0歳児の母(30代) 「出産費用の補助(一時金)が上がるタイミングで産院の費用も上がると広告が出ていた。2人目の時には今回よりもかかるなと思った。年々上がってしまうと負担がある」 実際に厚生労働省の調査によると、去年4月までの1年間で出産費用の値上げに踏み切った医療機関は44.5%に上ったという。 さらに、出産費用が高くて子どもを産むことを”ためらう”という声も聞かれた。