ディーゼルかガソリンか? 〈トヨタ〉ランドクルーザー250
ここのところ高頻度で「あのクルマ、どうだった?」と聞かれるのがコレ、〈トヨタ〉ランドクルーザー250。今年4月に日本でも発表されて以降、最近では街で見かけることも多くなってきたからかも。今回はガソリンエンジンモデルの最上級、VXをレポートしたい。
ご存知のとおり、現在この“ランクルファミリー”はトヨタで3種をラインナップする。1984年から継承される伝統のヘビーデューティ&クラシカルなルックスが魅力の”70”、最上級の“300”、そしてその中核にあたるのが今回の“250”だ。先代モデルは“プラド”というサブネームが与えられていたけれど、原点回帰という思想のもと、ネーミングも一新。「ルックスもより強固にワイルドに」というのが時代と気分にフィットして、瞬く間に納車待ちの長い列ができているというのがイマココ、というわけ。
そう、今回の250はかなり圧の強い見た目に生まれ変わった。プラドはどちらかといえば歴代、円みすら感じさせるような都会風のエクステリアと、華やかなインテリアが魅力でもあった。しかし250はもう、見るからにThe オフローダーだ。だからこそなのか、ディーラーオプションで用意されたクラシカルな丸目ライトが人気だというけれど、個人的には標準で装備される角目の完成度も、強め×ワイルドでなかなかに捨てがたいと感じてしまう。ボディサイズもプラドからはかなり拡大されて、全長+100㎜、全幅+95㎜、そして全高+75㎜で、眼の前にすると相当な圧迫感だ。率直にカッコいい。 事実、最上級の300と全長以外は同じでプラットフォームも共用だから、そりゃ大きいのもナットク、なのだけど、これが驚き、乗ると意外なほどにサイズ感を感じない。ボンネットの見切りや角形のボディから、直接視界がしっかり確保されていて、運転にストレスを感じにくいのだ。見直されたミラーの位置も地味に効果的だし。
300と250の大きな違いはパワーユニットにある。双方ディーゼルエンジンとガソリンエンジンをラインナップしているのは同じだけれど、250のほうがすこし小さめのエンジンと段の少ないATになっていると思ってもらっていい。パワーユニットだけは先代のプラドを踏襲しているのだ。で、「同じエンジンに大きくなったボディで大丈夫?」という素朴な疑問にお答えすると、答えは「もちろん問題なし」! 大方の評判は燃費にも優れたディーゼルエンジンがトルキーで◯、となっているけれど、ディーゼルエンジンにはひとつ大きな問題があって、コレ、なかなかにしっかりと大きく唸る。特に冷間始動や登坂などで大きく踏み込むと、ディーゼルならではのぐわ~んという音が響き渡る。対してガソリンエンジンはそのあたりが実に静粛性高く、さらに中~高速が伸びやか。スルスルとジェントルに乗りたいなら、ガソリンエンジンをオススメしたい。が、燃費はやはりそれなりに立派だから、燃費か静粛性か、悩ましいところ。家族と一緒に試乗してみてほしい。
気になるスペックは?
★DATA 〈トヨタ〉ランドクルーザー250 VX(ガソリン) ●全長×全幅×全高:4925×1980×1925㎜ ●車両重量:2240㎏ ●ホイールベース:2850㎜ ●エンジン:2.7ℓ直列4気筒 ●最高出力:120kW(163PS)/5200rpm ●最大トルク:246N・m(25.1kgm)/3900rpm ●トランスミッション:6速オートマチック ●駆動方式:四輪駆動 ●税込み価格:545万円~
文=今井優杏