爪痕残る被災地で鎮魂 奥能登豪雨1カ月住民ら黙とう 輪島「ひどい風景のままや」
奥能登豪雨から1カ月を迎えた21日、被害の爪痕が残る被災地では住民らが犠牲者14人の冥福を祈った。輪島市は防災無線で黙とうを呼びかけ、市民やボランティアらが目を閉じて悼んだ。同市では300人以上が避難生活を続けており、市は生活支援を急ぐ。 輪島市役所では、1時間降水量121ミリを観測した時間に合わせ、午前9時半に市職員が黙とうした。 坂口茂市長は報道陣の取材に対し「大切な命が失われたことに哀悼の意を示した。震災には耐えた住宅が水害で大きな被害を受けたケースもあり、非常に厳しい状況だが、市民が前を向いていけるよう努める」と述べた。全国のボランティアの力が復旧・復興に重要と説明し、ボランティアへの支援策を検討しているとした。 塚田川の氾濫で4人が死亡した輪島市久手川町(ふてがわまち)では、住民らが洪水の爪痕を見ながら、片付けなどに励んだ。近くに住む漆器職人の小西寛(ゆたか)さん(76)は「1か月たっても復旧が進まず、ひどい風景のままや」と表情を曇らせた。 行方が分からなくなっている輪島市の女性の捜索も行われ、警察官が同市の町野川河口周辺などで手掛かりを探した。 奥能登豪雨では河川の氾濫や土砂崩れで14人が亡くなり、1人が行方不明となっている。輪島、珠洲、能登3市町の避難者は18日時点で計434人で、旅館など2次避難先には43人が身を寄せている。住宅被害は計1487戸となった。輪島市と珠洲市では16日時点で1012戸で断水が続いている。