2025年“タクシー問題”は新たなフェーズへ…「相乗り」「ライドシェア」解禁で利用者はどれを選ぶべきか
相乗りタクシーが期待される理由
相乗りタクシーが今後の移動手段として期待される理由について、GO社長の中島宏氏は次のように力説する。 「タクシー不足の問題が完全に消えない中、まだ供給が足りていない時間・エリアもあります。そこを埋める新たな解決策の一つになるというのがスタートの背景です。そうはいっても、単に稼働数を増やすだけでは、別の問題が浮上してきます。渋滞の問題です。 いくらタクシーが増えても、渋滞で車が停滞すれば利便性は損なわれます。その点、相乗りは1台で複数のお客様を運びますから輸送効率に優れます」 同社のサービスは豊洲や勝どきなど東京湾岸エリア限定ながら、乗降スポットは約400か所ある。同乗人数が仮に1人でも、事前に確定した料金で乗車でき、相場もタクシーの約5、6割程度で済むという。 「便利だが高くて乗れない」と敬遠していた人でも、乗ってみようと思える料金設定だろう。全体のタクシー稼働数を必要以上に増やさず、割安で、快適に移動できる相乗りサービス。いいことづくめのようだが、持続的に運用していく上で大きなネックがある。同じような方向へ移動するまとまった乗客を、安定的に確保することだ。 いくら優れたサービスでも、乗客が毎回1、2人だと十分な利益を出せない。その点について、中島社長は次のように補足する。 「我々は日本国内ダウンロード数ナンバーワンという実績があり、乗客のデータを豊富に持っています。いつどのようなタイミングでニーズが増大するのかなど、エリアでの密度を把握できます。そもそもユーザーが多いのも強みです。そして、多くの車両にご登録いただいているので、需給に合わせた対応が可能なことも強いところです」
“3種のタクシー”どれが得か
2024年は4月に日本版ライドシェアが限定解禁。タクシー不足やドライバー不足をカバーする大きな動きがあった。捕まえづらかったタクシーの供給問題は徐々に解消へ向かい、次のフェーズはどの移動手段がメリットが大きいかにシフトしつつある。 通常のタクシー、ライドシェア、相乗りタクシー、それぞれに一長一短があるものの、利用者の目的に合致さえしていれば、どれを選択してもお得感まで実感しながら快適な移動を実現できる。 たとえば「GO SHUTTLE」は、現状では料金面のメリットが大きい一方、エリアが極めて限定的。同社もいまは試験的側面が強いものの、将来的には地方展開も視野に入れているといい、そうなれば、ちょっとした移動手段の選択肢としては有力になるだろう。 ライドシェアもタクシーとの比較では価格面で優位性があるが、ドライバーが一般人であるという安全面での不安はぬぐえない。現状は時間や場所が限定されていることもネックといえる。 通常のタクシーも割高感はあるものの、利用人数の工夫などで出費を抑えることは可能であり、使い方次第では便利な移動手段に変わりはない。 タクシー不足問題を横目に、旺盛なインバウンド需要を奪い取る「白タク」も横行した2024年。違法なタクシーが入り込むスキを与えないようにするためには、業界が創意工夫を重ね、健全に成長して乗客の満足度を高めるサービスを提供し続けるしかない。
弁護士JP編集部