ワトソン容疑者保釈に野口健氏「妨害を正当化」 山田吉彦氏「日本で裁かれるべき」
ポール・ワトソン容疑者の身柄を日本に引き渡さないとしたデンマーク政府の決定に対し、有識者らからは批判が相次いだ。 アルピニストで環境活動家の野口健氏は、日本の調査捕鯨船員に酪酸入りの瓶を投げるなどのシー・シェパードの行為を「環境テロ同然だ」と指摘。捕鯨は海洋資源や生態系を守る上でも重要だとした上で、「今回の決定を容認することは、捕鯨活動の妨害を正当化することにもつながる。日本政府には再度引き渡しを強く要望するなど、毅然(きぜん)とした態度をとってもらいたい」と訴えた。 また、東海大海洋学部の山田吉彦教授(海上安全保障)は「クジラを食す習慣がある日本に対し、欧米ではクジラが自然保護の象徴となっており、捕鯨が殺戮(さつりく)と捉えられている」と文化の違いに言及し、欧米に広がる反捕鯨思想の影響がデンマーク政府の決定に影を落とした可能性を指摘する。 山田氏は「過激な環境論者の行為を容認することで、妨害行為がエスカレートする恐れもある」と懸念し、「ワトソン容疑者の行為は犯罪なので、日本の法律で裁かれるべきだ。日本政府には適切な法的措置を望む」と話した。(塚脇亮太)