「飲酒運転を絶対に許さない」熊本市職員死亡事故から半年、市長が街頭で呼びかけ…HPでは啓発動画
熊本市中央区で6月に市職員が飲酒運転の車に衝突されて死亡した事故を受け、熊本市が飲酒運転撲滅を強く訴えている。飲酒の機会が増える年末を前に、市中心部の繁華街で街頭活動を行い、根絶を呼びかける動画を制作した。今月15日で事故から半年となる。「未来を奪う飲酒運転を絶対に許さない」。市は多くの人に思いが届くことを願っている。(有馬友則) 【写真】飲酒運転撲滅を呼びかける熊本市の動画
「飲酒運転撲滅に協力をお願いします」。6日夕方、師走でにぎわう熊本市中央区下通のアーケードで市職員ら約40人が呼びかけた。大西一史市長も街頭に立ち、市タクシー協会や市社交飲食業組合の関係者らと一緒に熊本県内での飲酒運転事故の状況や罰則をまとめたチラシを配布した。
「危険運転」で起訴
6月15日、市児童相談所職員の女性(当時27歳)は亡くなった。県警などによると、午前4時15分頃、熊本市中央区細工町で、知人と歩道を歩いていた女性に、被告(24)の軽乗用車が衝突した。前日夜に勤務先だったホストクラブに禁止されていた車で出勤し、飲酒した後だった。
県警は自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死)と道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕した。その後の捜査で、トラックに追突した後、逃走しようと時速70キロ以上でバック走行した末の事故だったことが判明。より量刑の重い危険運転致死傷に切り替えて起訴された。
事故の2日後に報道陣の取材に応じた大西市長は、女性が市長との意見交換会で児童相談所の改革への思いを語っていたと振り返り、「非常に活発に前向きな意見をくれた優秀な職員だった。本当にショックで強い憤りを感じている」と悼み、関係機関と飲酒運転撲滅に取り組む方針を明かした。
動画は11月に公開された。女性の命を奪った事故の概要を説明し、事故現場付近で市職員の有志らが啓発のチラシを配る様子や大西市長の「飲酒運転による事故を絶対に起こさせない熊本を一緒につくりましょう」とのメッセージを紹介している。動画は15秒と1分の2種類あり、市のホームページから見ることができる。市中心部の街頭モニターでも放映した。