『まいっちんぐマチコ先生』作者のえびはら武司氏の半生を描いた舞台の完結編が9日から上演開始。「一つもウソが入っていない」
漫画家のえびはら武司氏の4コマ漫画「まいっちんぐマンガ道」を原作とする舞台「まいっちんぐマンガ道~明日への扉~」の公開リハーサルが10月9日、東京・新宿のサンモールスタジオで行われた。 えびはら氏はファンから初めてアシスタントになったことで「藤子不二雄の最初の弟子」といわれる漫画家。独立後、1980年に連載がスタートした「まいっちんぐマチコ先生」は単行本累計800万部、アニメ化、実写映画化もされ大ヒットした。 舞台の原作となったえびはら氏の原作は藤子不二雄のアシスタントとして、藤子スタジオに勤務していた時期(1973~1975年頃)のエピソードを集めたもの。これまで2020年7月、2021年2月と9月の計3回舞台化され、今回が4回目。
これまでは俳優・作家・演出家のIKKANが脚本・演出を担当していたのだが、完結編となる今回は女優の鳳恵弥が脚本・演出を担当した。 これまでの3本の舞台では藤子スタジオ入所から、アシスタント仲間たちとの青春、そして藤子スタジオを飛び立つまでが描かれた。今回は師である藤子不二雄や人生を捧げたマンガ道への感謝を込めたものとなっている。 今回の物語の中でえびはらは、かつて自身のアシスタントを務め、その後、漫画家としてデビューし成功を収めていた御茶漬海苔からの電話をきっかけに、自身のアシスタント時代を思い出す。特に付き合いが深かった藤本弘とのやりとり、アシスタントや事務の女性など藤本スタジオの仲間たちとのエピソードは当時の若いクリエイターたちの熱気を感じさせるとともに古き良き昭和の時代を思い起こさせる。
公開リハーサルの後に行われた囲み取材で、えびはら氏は「当時のことを忠実にやっていただいた。いい脚本にしていただいてありがたい。分かりやすくて楽しいハッピーな舞台になってうれしい。一つもウソが入っていないのがすごい」と笑顔を見せた。 鳳は「今回のテーマは青春。5月に逝去された唐十郎先生が“演劇は青春だ”という言葉を残された。先生は演劇の全盛期の時代を思い出されて言われたと思うが、私も作品を通してご一緒させていただき、まさしく今でも青春を生きられている方なんだと思ったことを覚えている。私も演劇を生業として、青春を身をもって体感している。人生、一般の方々も一生懸命生きていれば、それはイコール青春時代がずっと続いているんだと思う。なので作品を見に来ていただいて“明日も青春の1ページを生きていこう”という源になっていただければ役者冥利に尽きる」などと語った。 同作は9日から13日まで同所で上演される。