遺産の不動産が「所有者不明土地」だったら…相続人を確定させる「相続人調査」の進め方【税理士の解説】
「時効取得ができる」場合とは?
なお、ある不動産について、所有の意思をもって平穏かつ公然に10年間又は20年間占有すると、その不動産を時効取得することができます(民法162条参照)。 所有者不明土地の場合、隣地の所有者が、所有者不明土地までも含め一体として自己の所有地と認識し、所有者として使用収益し、不動産の管理も行い、さらに固定資産税も納付するなどしている場合があります。そのような場合には、隣地の所有者が、所有者不明土地を時効取得できることがあります。もっとも、時効取得を原因とする所有権移転登記は、所有者不明土地の相続人全員の協力がなければ実現できません。 また、判決に基づき単独申請で時効取得を原因とする所有権移転登記を行う場合にも、所有者不明土地の相続人全員に対する判決を得ないと、所有権移転登記を行うことはできません。 Point.1…所有者不明土地問題は社会問題化している Point.2…相続人調査は地道かつ着実な戸籍の収集作業が必要 Point.3…相続人の連絡先が分からない場合、戸籍の附票を取得して、住民票上の住所を調べる
多大な手間と時間を要する相続人探し…専門家への依頼がベスト
事例のケースで、何代も前から名義変更されていない不動産の問題を解決するためには、まず相続人が35名であることを戸籍等から確認し、連絡先の分からない相続人については戸籍の附票を取得し、現在の住所を調査する必要があります。 そのうえで、各相続人に対し、遺産分割協議の申し入れをして、遺産分割を進めていかざるを得ないと思います。 多大な手間と時間がかかることは予想されますが、一歩一歩、着実に進めていく必要がありますので、事例のようなケースでは、相続人調査から遺産分割協議まで、まとめて弁護士等の専門家に依頼されることをおススメします。
税理士法人チェスター